約 3,642,149 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3759.html
特に悪さをしていないゆっくりが酷い目にあいます 舞台は現代です 冬の夜は寒い。残業を終え、家に帰る途中に公園の自販機であったかいコーヒーを買って飲むことにした。 自販機から落ちてきた缶コーヒーを取り出す。どうでもいいけどあったかいどころじゃなくて熱すぎるなこれ。 火傷しそうなほどの熱を帯びた缶を手で転がし、近くのベンチに座る。そういやちと小腹も空いたなぁ。 寒空の下、クソ熱いコーヒーで一息ついていると、背後から人の声のような音が聞こえた。 「ゆ゛ぅぅ!おかーさん、さむいよぉぉ!」 「ゆっくりがまんしようね! ほら、すりすりすればあったかいよ!」 一体何事かと振り返るが誰もいない。おかしいなと思いつつふと視線を下に向けると、そこにはゆっくりの親子がいた。 大きさの違う二匹が頬を擦り合わせている。どちらもれいむ種だ。小さい方の大きさは野球のボールぐらい。 親と思われるサッカーボール大のゆっくりれいむの頭からは蔦が伸びており、そこには5匹の実ゆっくりが生っている。 どうやらにんっしんっ中らしい。実ゆっくりの形状からするとまりさ種だと思われるもう一匹の親は見当たらない。 少し興味がわいた俺はゆっくりの親子に尋ねてみることにした。 「ようれいむ、ゆっくりしていってね!」 「ゆゅっ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 この言葉を言えばゆっくりは本能的に反応せざるをえなくなる。 寒さに震えていた子れいむも目を輝かせてこっちを向いて返事してきた。 「ゆっ!おにいさんはゆっくりできるひと?」 「どうだろうな、多分できるだろう。ところで、お前のつがいのまりさはどこにいるんだ?」 「ゆゆっ!?おにいさんどうしてれいむのだーりんがまりさだってわかったの!?」 「んー、まあ…そうね、超能力だ」 説明するのも面倒だ自分で考えやがれと思いながら親れいむを適当にあしらう。 それで納得したのか、親れいむはすごーい!と言ったあと急に暗い顔になった。 相変わらず感情の変化が激しいナマモノですこと。 「ゆぅ…まりさは…きのういなくなっちゃったんだよ…」 子れいむも顔を俯かせて沈んでいる。 話を聞くと、どうやら昨日家族で移動中、まりさは車に轢かれて死んだらしい。 目の前で親がグチャグチャに潰れたのを思い出したのか、子れいむは泣きだしてしまった。 親れいむはそんな子れいむをすーりすーりとあやす。 「なるほど、それは残念だったな」 「ゆぅ…しかたないよ」 伴侶を亡くして自分も辛いだろうに、子供に心配は駆けさせないようにと笑顔を見せる親れいむ。 そんな彼女達を見て、あることが思いついた。 「なぁれいむ、俺の家に来ないか?」 「ゆゅっ!?おにいさんのおうちに!?いいの!?」 「ああ、俺も丁度お前達のようなゆっくりが欲しかったところなんだ」 二匹を連れて帰宅。出迎えてくれる人もいない一人暮らしなので部屋の中は外と同じぐらい冷えている。 ストーブをつけて次第に部屋が暖かくなってくると、寒さで震えていたゆっくり親子は生き生きとし始めた。 「ゆっ!あったかいよ!ここをれいむたちのゆっくりぷれいすにしようね!」 と子れいむははしゃぐ。親れいむもそんな元気な我が子の姿を見てうれしいのかにこにこと微笑んでいる。 とりあえず部屋着に着替え、子れいむを流し台の蛇口の下に置いた。 何するの、という顔をした子れいむを水で洗う。 最初は驚いていた子れいむだったが、冷たい水が気持ちいいのか次第にとてもゆっくりした顔つきになっていった。 「ゆぅ!すっきりー!」 「ゆ!よかったね!おにいさん、ありがとう!」 見違えるほど綺麗になった子れいむの姿を見て、親れいむは俺にお礼を言ってきた。 そんな親れいむを蔦が傷つかないよう慎重に持ち上げ、にんっしんっゆっくり用の天井部分が開いているタイプの透明なケースに入れた。 にんっしんっ中のゆっくりは勢いよく跳び跳ねたりすることはないのでこれで十分なのだ。 「ゆゆっ!?うごけないよ!おにいさん、れいむをここからだしてね!」 「その中でゆっくりしていれば、赤ちゃん達が無事に生まれてくるんだよ」 「ゆっ!そうだったの!じゃあれいむはここでゆっくりするね!」 完全に俺を信頼しているのか、そんな適当な言葉にも親れいむはいとも簡単に騙された。 そう、俺は別にこいつらを飼おうなんて思っちゃいない。ただ単に小腹がすいていたから食べようと思って連れて帰ってきたのだ。 台所の引き出しからトングを取り出し、それで子れいむを掴んで持ち上げる。 「ゆー!おそらをとんでるみたーい!」 目をキラキラと輝かせながら呑気な事を言う子れいむ。これから何が起こるかわかっていないんだろうな。 右手でトングを持ったまま、左手でガスコンロのスイッチを捻る。ボッという音と共に青い火がコンロから噴き出した。 「ゆぅっ!?なにもないところからひさんがでたよ!」 悲惨? …あぁ、火さんか。何事かと思った。 今まで見たことがないのだろう、ガスコンロを上空から眺める子れいむはキラキラと目を輝かせている。 そんな子れいむの底面の皮をガスコンロの火に直接あてた。いわゆる直火焼きと言うやつである。 「ゆゆ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅ!?あじゅいよ゛おぉぉぉおぉおぉぉぉおおおぉぉぉぉぉ!!?」 一転して天国から地獄へ。つい先程まではとてもゆっくりした表情だったのが今は激痛に歪んでいる。 突然身に降りかかった出来事に、子れいむは困惑と苦痛が入り混じった顔をしている。 子れいむはもとより親れいむも何が起こったか理解できていないようだ。目をぱちくりさせている。 「ゆ゛あ゛ぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁ!!だすげでおがーーざぁぁぁぁぁぁん!!」 その声でようやく我に返ったのか、親れいむは目を見開いて大きく口を開けた。 「お゛に゛いざんな゛に゛じでるの゛おおぉぉぉおぉぉぉおおお!?」 「何って、見ての通りだよ。子れいむを焼いてるんだ」 「どぼじでぞんなごどずるの゛っ!!」 唾(っぽい砂糖水)をクリアケースにベタベタと振りかけるほどの勢いで親れいむは声を上げた。汚いなぁ。 何とか脱出しようとしているが、左右には身動きが取れず、身重のため飛び跳ねることが出来ないようだ。 それでも少しは体は動くらしく、ぐねぐねと体をひねろうとしたりしている。 が、その度に蔦に生っている実ゆっくり達がわさわさと揺れているのには気付いていないようだ。 「おいおい、あんまり動くと赤ちゃん達が落ちちゃうぞ」 子れいむの皮を焼きながら親れいむに言うと、ゆ゛っという声と共に体を動かすのをやめた。 自分が助けなければ可愛い子供が焼かれてしまう。かといって動けば可愛い赤ちゃん達が未熟なまま落ちて死んでしまう。 といったところだろうか、親れいむは何とも複雑な顔でオロオロしている。 その間にも俺は子れいむの皮をどんどんと焼いていく。 焼き過ぎず丁寧にこんがりと底面を焼き終わったら、次はその他の部分も次々と焦がしていく。 「ゆ゛あ゛あぁああああぁぁぁぁぁぁ!!お゛がぁぁざんどぼじでだすげでくれ゛ないの゛おおぉぉぉぉぉぉぉ!?」 流石にこの音量は近所迷惑になりそうだな。 というわけで次は口の部分を焼くことにした。子れいむの顔面を火に近づける。 「やべでっ、ゆ゛っぐりじでいっでよっ…ゆ゛びいぃぃぃいぃいぃぃぃいぃぃぃぃ!!?」 口を火で炙り、接着する。これでもう大きな声を出されることは無くなった。 続けて両目を焼き、そして全身を余すところなく焦がす。 完全には口が塞がっていないようで、時々ぷひゅ、ぷひゅ、という音が子れいむから聞こえてくる。 喋ろうとしているんだろうが、僅かに空いた口の隙間から空気が漏れているだけのようだ。 ゆっくりゆっくりと時間をかけて子れいむを炙る。 「やべでぇぇぇぇぇ!!れいぶのこどもをいじめないでええぇぇぇえぇぇぇえ!!」 その様子を見ていた親れいむが箱の中から懇願してきた。天井が開いてるから防音出来ないのがこのタイプの透明箱の難点だな。 当然無視して子れいむを焼き続ける。そうこうしているうちに子れいむが完全に焼きあがった。 もちもちとしていた白い肌は、こんがり美味しそうな褐色に変わっている。上手に焼けましたー! ピクピクと痙攣しているところをみると、まだ死んではいない。まあそうなるように調節したんだけどね。 とはいえ口はないから喋れないし、目もないから何も見えない、底面どころか体全てが焼かれているので全く動くことも出来ない。 そんな焼き子れいむを皿に乗せ、親れいむの入っている透明な箱の前に置く。これで一品完成だ。 「あ゛あ゛あぁあぁあぁぁぁぁ!!?でいぶのがわい゛い゛ごどもがああぁぁあぁぁぁぁ!!」 変わり果てたわが子の姿を見て、ダボダボと滝のように涙(っぽい砂糖水)を流す親れいむ。 近付くと、彼女は鬼のような形相でこちらを睨みつけてきた。おお、こわいこわい。 「れ゛いぶをがえじでっ!お゛に゛いざんはゆっぐりできない゛よっ!」 「ははは、かもな」 蔦に触れないよう、両手を親れいむの頭に乗せ、そして一気に体重を乗せた。 丁度親れいむを上から押し潰すような感じである。 「ゆ゛ぎぎぎいぃぃぃぃいぃぃぃぃぃいいいぃ!?」 突然の圧迫に親れいむは体をへこませて苦しそうにうめく。 すると、蔦に生っている実ゆっくり達が物凄い勢いで成長し始めた。みるみるうちに体が大きくなり、張りが出てくる。 親ゆっくりの体を押さえつけることによって強制的に餡子を蔦へと供給し、実ゆっくりを急成長させることができるのだ。 野生でも植物型にんっしんっ中の親ゆっくりが大きな石に押し潰された時などに見られる現象である。 やがて一匹、また一匹と大きくなった実ゆっくりは次々と地面に落ちて赤ゆっくりとなっていった。 「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」 5匹の健康な赤ゆっくり達は母親に向かって生まれて最初のあいさつをした。 きっと最高のゆっくりしていってね!を返してくれるに違いないとでも思っているのだろう、赤ゆっくり達の顔は期待に満ちている。 「ゆ゛っ…おぢひちゃんたち…はや゛く…ここからにげ……て…」 体内の餡子が急激に減った親れいむは、息も絶え絶えに生まれてきた赤ちゃん達にここから逃げろと伝える。 母から帰ってきた言葉は彼女達の思いもよらない物だったらしく、赤ゆっくり達はショックを受けた顔になった。 「どうちてしょんにゃこちょいうのぉぉぉ!?」 「まりしゃ、おきゃーしゃんとしゅりしゅりしちゃいよー!」 Д<←こんな顔して透明な箱にまとわりつく赤ゆっくり達。中には泣いてるやつもいるな。 そんな赤ゆっくり達をボウルに入れ、その上から白ゴマをまぶす。 「ゆっ!なにきゃおちてきちゃよ!」 「ゆっくちたべりゅよ!むーちゃむーちゃ、しあわしぇー!」 「とっちぇもおいちいね!」 おいおい、できればゴマは食べないでくれよ。赤ゆっくり達が食べるだろうことも考えて少々多めにゴマを振りかける。 生まれたばかりの赤ゆっくり達の餅肌にゴマがべったりとくっついた。これで下準備は完成。 ボウルを持ち上げ、菜箸を使って一匹の赤まりさを熱しておいた油の中へと入れる。 「ゆー!おしょりゃを…ゆびゅゅぅぅうぅうぅぅぅぅぅ!?」 ジュウっという小気味良い音と共に物言わぬ上げ饅頭となる赤まりさ。その様子を見た親れいむは白目を剥いて気絶してしまった。 残りの4匹は何が起こったのかわからないのか、どうしたんだろうという顔をしている。 次はたっぷりゴマのついた赤れいむを投入した。 「ゆっ!れいみゅおしょりゃ…あ゛じゅい゛いぃいぃいぃぃぃぃぃいいぃぃぃぃ!!?」 姉妹の悲鳴を聞き、漸く身の危険を感じたらしい。残った3匹はガタガタと震え始めた。 「ゆ゛え゛ーーーん!!きょわいよ゛おぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「やめちぇにぇ!こっちにこにゃいでにぇ!」 「たしゅけちぇおきゃーーしゃぁぁぁぁぁん!」 勿論手を止めるつもりはない。一匹、また一匹と次々油の中へ投下していく。 5匹全部を入れた後、しばらく低温で揚げ続けてキツネ色になったぐらいで取り出し、焼き子れいむを乗せた皿に盛り付けた。 二品目、ゴマ赤ゆっくり団子だ。美味しそうに出来た。早速食べる事にしよう。 テーブルに座り、まずは焼き子れいむをいただく。 野球ボールほどのサイズのそれの左右を掴み、真中から二つに割る。 出来てから少し時間がたってしまっているが、中身はまだあつあつで湯気が出てきそうなほどだ。 これはまだ子れいむが生きていたから、時間を置いていても熱を保っていたのだ。さすがに真っ二つに裂けた今は死んでいるが。 断面からまずは一口、口に含んだ。刹那、口の中に広がる餡子の甘味と皮の旨み。 カリッと香ばしい皮の表面と、それにその下にある皮のもちもちっとした触感、さらに適度な苦痛によって洗練された餡子が見事に調和している。 そして柔らかい食感の中でも一部分だけひときわもっちりしたものがある。これはゆっくりの目、白玉だ。 これもまた餡子との相性は抜群である。 「これは美味い!やっぱりゆっくりは最高だ!」 続けてゴマ赤ゆっくり団子を一つ、一口で食べた。 サクッとした触感と、油の染みた赤ゆっくり独特の柔らかくも弾力性のある皮。それを噛むたびにゴマの香りが口の中に充満する。 そして何といってもやはり生まれたての天然赤ゆっくりの餡子は素晴らしい。しっとりとしていてかつ鮮度がいい。 こちらも文句なしの出来だ。濃過ぎず薄過ぎずの味で何個でも食べられそうだ。 うおォン、俺はまるで人間火力発電所だ!とでもいうように次々と調理されたゆっくり達を口に含んでいく。 焼き子れいむも全て食べ終え、残るゴマ団子もあと一つとなってしまった。流石に結構な量があったので腹も膨れたな。 と思っていると、何やらキッチンの方から声が聞こえてきた。 「ゆ゛ぅ…でいぶの…がわい…いっ……」 っと、そういえば忘れていたな。どうやら親れいむが目を覚ましたらしい。 成体ゆっくり、特に親ほどにもなると餡子が劣化しているせいかそれほど美味しくはない。 そもそももうお腹も膨れたので今は親れいむを食べる気はない。 ならどうするか。決まっている。 「生ゴミは処分しないとな」 俺は虚ろな目をしている親れいむを箱から取り出し、スーパーのビニール袋に入れて固く口を縛った。 そしてそのまま何度も踏みつける。袋越しに弾力が伝わって来てこれがなかなか気持ちいい。 しばらく踏み続けていると、抵抗力が無くなって皮が破れ、餡子も漏れ始めたようだ。袋が内側から黒く染まってきた。 「も゛っど……ゆっぐりした…かっ…た……」 ピクリとも動かなくなった黒い餡子まみれのビニール袋をゴミ箱に捨てる。 親れいむを処分し終えた俺は、残っている最後の1個のゴマ団子を一口で食べた。 サクッという音と共に再び口内にゴマの風味と餡子の甘味が広がった。 うーん、デリシャス。これなら毎日でも食べたいね。 甘いもの食べて少しは疲れが取れたような気もするし、明日も頑張ろう。 終わり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/424.html
「奇形ゆっくり」 雪もだいぶ解けた頃。 草原には、越冬したゆっくりの姿が現れ始める時期だ。 森の中を歩き続ける僕。 僕は、ある条件を満たすゆっくりを探している。 探しているのは、単体のゆっくりではなく、子供を連れたゆっくり一家でもなく、発情したゆっくりありす でもなく、ゆっくりれみりゃなどの捕食種でもない。 僕が探しているのは、お互いを愛し合ったカップルのゆっくりだ。 それも、既に交尾を済ませて妊娠初期の…そう、そのタイミングが一番“いい”。 越冬後の初春になると、冬を生きて越すことができた安心感のためか、それとも家族計画を考えているのか、 多くのゆっくりが交尾を行う。 草原には結構な数のゆっくりが顔を出し始めているから、そろそろだと思うのだが… 「ゆっ!?おにーさん、ゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 すれ違うゆっくりには適当に返事を返しておいて、巣のありそうなところを手当たり次第に探していると… 「ゆぅ!!ゆっくりそだっていってね!!」 「ゆっくりいいこになってね!!」 狭い入り口から中を覗くと、ゆっくりれいむとゆっくりまりさのカップルがお互い寄り添っていた。 れいむの頭には3本の蔓が生えている。妊娠初期なのだろう、つぼみは固く閉じていてまだ子ゆっくりの 原型すら出来ていなかった。 ふむ…こいつらは、丁度よさそうだな。よし、こいつらにしよう。 そう決めると僕はこいつらを連れて帰るべく、ゆっくりに声をかけた。 「やぁ、ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ!?ゆっくりしていってね!!」 本能に刻まれた言葉を僕に返す2匹のゆっくり。 「お、れいむは妊娠してるのかな?」 「そうだよ!!もうすぐのれいむのあかちゃんがうまれるよ!!」 「まりさのかわいいあかちゃんがうまれるよ!!」 どうやら、ちゃんと望まれて生まれようとしている子供のようだ。 ひとまず安心した。そうでなくてはこれからの計画も、意味がなくなるからだ。 「よし、これから赤ちゃんが生まれる二人のために、すっごくゆっくり出来るところを用意してあげたよ」 「ゆゆっ!?ゆっくりできるところ!?」 「おにーさん!!ゆっくりあんないしてね!!」 これから親になるというのに、この馬鹿っぷりはいかがなものか。 毎度のことだが、こいつらが絶滅しない納得のいく説明がほしい。 「よし!!じゃあお兄さんについてきてね!!」 息が上がらない程度のペースで、家へと続く道を走る僕。 家まではそれほど遠くない。ジョギングのペースで走って10分ほどだ。 だから僕にとっては軽い運動でしかないのだが…どうやら、2匹のゆっくりにとっては違うようだ。 「おにーさん!!もっとゆっくりしていってね!!」 「おいてかないで!!もっとゆっくりあんないしてね!!」 普通のゆっくりなら決してついてこれないペースではないのだが、妊娠しているれいむは頭に生えた蔓が折 れないように注意しながら跳ねなければならない。 「れいむ!!ゆっくりいそいでね!!」 ペースの遅いれいむに付き添うまりさも、同様である。 「そんなにゆっくりしてると、ゆっくり出来るところがなくなっちゃうぞー!!」 「ゆゆーっ!!??いやだよ!!ゆっくりしたいよ!!」 「ゆっくりいくからまっててね!!れいむ!!もっとゆっくりはやくしてね!!」 どんなに急かしても、こいつらは一定のペース以上速くはならない。 これは…何か別の方法を考える必要があるな。 ちょっとばかり考えて、思いついたのは… 「おーい、まりさ!」 「ゆっ!?」 「まりさがれいむを後ろから押して手伝ってあげれば、早くゆっくりできるぞー!」 「ゆゆ!!おにーさん、あたまいいね!!まりさゆっくりてつだうよ!!」 さっきから2匹の様子を見てわかったのだが、れいむは蔓が折れないように注意してペースを落としている のに対し、まりさは単純にれいむに付き添っているだけ。蔓に注意を払っているわけではない。 つまり、まりさはれいむがゆっくりしている理由がわからないのだ。 ゆっくり出来るところがなくなる、という僕の言葉に焦りを感じるとともに、ペースを上げようとしない れいむに苛立ちを感じはじめるまりさ。 だから…後ろから押して手伝ってやれ、という指示にも簡単に従う。 「れいむ!!もっとゆっくりいそいでね!!」 「ゆぎゅううう!!まりさあああああああああやめてよねええええええ゛え゛え゛え゛!!!!!」 ぐいぐいと後ろから押していくまりさ。それでもペースを上げるわけにはいかず、必死に抵抗するれいむ。 だが、身重の体ではまりさを押し返すことは出来ない。 そのまままりさの力に押し負けて、ペースを上げることになってしまった。 「やだあああああああああ!!あがぢゃんできなぐなっぢゃううううううう!!!!」 「れいむ!!はやくゆっくりできるところでゆっくりしようね!!」 まりさはれいむの悲鳴を聞いてないのだろうか? これから生まれる赤ん坊すら気遣わないあたり、やっぱり頭の中が餡子なんだなぁ。 しばらくして、もう少しで家に着くというところに差し掛かると… 「まりざやめでよおおおおおお!!!…ゆぎゅ!?」 まりさに押されてハイペースで跳ねていたれいむが石につまづき、顔面から倒れ伏してしまった。 あ、これはヤバい、と思った。その角度と、そのスピードが。 ボキッ!! 3本の蔓のうち、一番細かった1本が折れてしまったのだ。 「ゆぎゃああああああああ!!!れいむのおおおおおお!!あがぢゃんがああああああああ!!!」 ゆっくりらしからぬ速さで起き上がって、折れた蔓のもとへ駆け寄るれいむ。 その後を、まりさがゆっくり追いかけた。 れいむは、滝のように涙を流しながら萎えた蔓を見下ろしている。 その後ろのまりさは、ばつの悪そうな顔をしていた。 最初は悲しみの震え…そして、その震えは怒りに変わった。 「ゆぐぐぐぐぐぐぐ!!!!まりざのせいだよ!!まりざがうしろからおしたからだよ!!」 「ゆぎゅ!?まりさはわるくないよ!!れいむがゆっくりしすぎたのがだめなんだよ!!」 へぇ、ゆっくりも夫婦喧嘩するんだぁ。 「あかちゃんがああああああ!!!れいむのあがぢゃんがあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「ゆっ…れ、れいむのせいだよ!れいむがころんだから――― 「はい、そこまで!」 このまま見ていても面白そうだったのだが、殺し合いに発展する気配を感じたので仲裁に入る。 「今のはどっちも悪くないよ。たまたま、その蔓が細すぎたんだ。たぶん折れなかったとしても赤ちゃんは できなかったよ」 「ゆっ!?そうなの!?」 「そうだよ。だから、残りの2本を大事にすれば良いのさ」 「ゆゆ!!わかったよ!!れいむのあかちゃんだいじにするね!!」 「まりさのあかちゃんゆっくりさせてあげるね!!」 あー、⑨でよかった。 2匹の仲直りは済んだので、すぐそこの自分の家に案内する。 玄関から入っていく2匹は、終始寄り添ったまま離れようとしなかった。 2匹を専用の部屋に案内し、準備を済ませると僕も2匹と同じ部屋に向かった。 僕が抱えているのは、最近幻想入りしたという毒入りギョーザと、2リットルペットボトルに入った廃油だ。 「おーい、ゆっくりしてるかい?」 「ゆっくりしてるよ!!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 先に与えておいたお菓子を食べつくして、2匹は文字通りゆっくりしていた。 れいむが妊娠している以上、昔のように跳び回って遊ぶことは出来ない。 2匹にとっても、今までのように跳びはねるより、寄り添いあってゆっくりしてる方が満足できるのだろう。 ギョーザとペットボトルが視界に入るやいなや、跳ね寄ってくる2匹。 「ゆゆ!?それはなに!?」 「ゆっくりできるもの?ゆっくりできるならまりさにちょうだいね!!」 おお、食いついてきた。そうでなくちゃ困る。 「これはね、栄養価の高い食べ物だよ。もうすぐ赤ちゃんが生まれるれいむに食べてもらおうと思ってね。 これを食べれば、元気でいい子な赤ちゃんがたくさん生まれるよ!」 餡子脳にも理解できるように、説明は怠らない。 すると、期待通りれいむが食いついてきた。もう期待通り過ぎて怖いぐらいだ。 「ゆゆ!!れいむたべるよ!!さっさとそれをゆっくりちょうだいね!!」 「わかったわかった。まりさも食べるか?」 「まりさはいらないよ!!ゆっくりれいむにあげてね!!」 さっきのことを少しは反省しているのだろうか、それとも夫(?)としての自覚が芽生えてきたのか。 僕としてはれいむが食べてくれさえすればかまわないので、ギョーザを適当に床に置いて、大きい器に廃油 を移し替えた。 「むーしゃむーしゃ、しあわ…せ…?」 一口食べて、早速異変に気づいたらしいれいむ。 「おにーさん!!これすっごくまずいよ!!こんなのたべられないよ!! こんなものをたべさせるおにーさんとはゆっくりできないよ!!」 「わがまま言うなよ。元気な赤ちゃんが生まれなくてもいいのかい?」 「ゆぎゅ……がまんしてたべるよ…!」 赤ちゃんのため、って言っておけば大抵のことは我慢できそうだな、このれいむ。 眉間にしわを寄せて、いかにも不味そうな顔をしながら、ギョーザをちびちびとかじっている。 ダイオキシンとか、タリウムとか、メタミドホスとか、かなりヤバイ代物らしいんだが、体調には変化はな さそうだ。 実は、毒に対してはかなり耐性があるのだろうか? 「れいむ!!ゆっくりがんばってね!!あかちゃんのためにがんばってね!!」 毒入りギョーザを栄養食か何かと勘違いしている2匹。 まりさは、不味そうにギョーザを食べているれいむを応援している。 そのあと、いろいろヤバそうなものが浮いてる廃油にもれいむは口をつけた。 「ゆぎゅ、まずい……でもあかちゃんのためにがんばってのむよ!」 「ゆゆゆ!まりさもてつだってあげるね!!」 何を思ったのか、自らも廃油を飲みだすまりさ。 お前が飲んだら意味ねーだろ(笑) 目の前の不味い飲み物がなくなればいいとでも思っているのだろうか? さすが餡子脳。僕の予想の斜め上を常にキープしている。 そんなこんなで、3日間。 蔓には、少しずつ子ゆっくりの原型らしきものが現れ始める。 僕はすでにその異変に気づいていたのだが、2匹のゆっくりは気づかない。 出産自体初めてなのだろう、こういうものなんだ、と納得しているようだ。 そして。 いろいろヤバいものを体内に取り込んでいったれいむだったが、ついに…その時が来た。 出産のときである。 部屋の真ん中に陣取ったれいむ。 それを少し離れた所から、不安そうに見守るまりさ。 2匹の数週間の愛の結晶、そして僕の“3日間の努力”の結果が…今、目の前にその姿を現そうとしている。 小刻みに震えだしたれいむ。その時が近づいているのだろう。 最初は堪えていた声も、だんだん我慢できなくなってきたらしい。 「ゆ……ゆ…ゆゆゆゆ…!!」 プチッ! ぽとっ 一匹目のゆっくりの誕生である。 「ま、まりさのあがちゃんがうまれたよおおおおお!!!」 「れいむのっ、れいむのがわいいあがちゃんんんんんんんんんん!!!!」 遠くから見守ると決めていたまりさも我慢できなかったらしい。 赤ちゃんが生まれた嬉しさのあまり、すぐに生まれたての赤ん坊のもとへと跳ねてきた。 その時点で、2匹は初めて“異変”に気づいた。 「ゆ゛……ゆ゛ぐり゛……ぢででね゛……!!」 「なんなの!!このごおがしいよ!!!おがしいよおおおお!!??」 「ゆぎゃあああああああああああ!!??へんだよっ!!へんながおだよおおおおお!!!!」 このゆっくりには、口と呼べるものがなかった。 正確には、口のなり損ないのような…上唇と下唇がところどころ途切れながら癒着しているのだ。 だから、言葉を発しようとしても『ゆっくりちていってね!!』とはならない。 プチッ! ぽとっ 二匹目の誕生。れいむ種である。 今度こそまともな子供が生まれてほしい…そう願うれいむとまりさ。 しかし、そんな願いは無残にも打ち砕かれた。 「ゆっくりぃちていってにぇ……ありぇ?うごけないよ?!」 二匹目の赤ちゃんは、言葉は比較的しっかりとしていた。 しかし、この赤ちゃんには致命的な欠陥があった。 饅頭らしい弾力性が殆どなく、中身が液体のようにドロドロしているのである。 簡単に言えば…そう、やわらかすぎるのだ。 これでは、自由に弾力性を利用して跳ね回ることは出来ない …この赤ちゃんは、一生自力では動けないだろう。 「ゆっゆっ!!ゆっくりうごいてね!!ゆっくりはねてね!!」 異常に気づいたまりさが赤ん坊を手伝おうとするが、無駄なことだった。 「ゆっ…ゆっ…うぅ、うごけないよおおおおお!!うわああああああんん!!!」 「ゆぅ!!ゆっくりしていってねええええええ!!!」 自力で動けないことに絶望する赤ちゃんゆっくり。 そんな子供を目の前にして、どうしたら良いのか分からず泣き喚くまりさ。 それを遠くから見ているれいむの顔には、疲れの色が見え始めた。 プチッ!! ぽとっ 三匹目。 「ゆっくりちていってね!!…ゆゆっ!?くらいよ!?おかーさんどこおおおお!!??」 駆け寄ったまりさは絶望した。 その赤ちゃんゆっくりには…目がなかったのだ。 「おかーさんはここにいるよ!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ!?みえないよおおおおお!!まっぎゅらだよおおおおおおおお!! おがーざあああああ゛あ゛ん゛ん゛ん゛!!!!ゆッぐりじゃぜでよおおおおお゛お゛お゛!!!」 大声で泣き叫ぶ赤ちゃんゆっくりを宥めようと、まりさが頬を摺り寄せるが… 「ゆぎゃ?!なに!?なにかぶつきゃったよ!?なんなの!?わがらないよおおおおお!! ごわいよおおおおおおおおお!!だじげでよおおおおおおおおおお!!??」 「こ、こわくないよ!!おかーさんだよ!!ゆっくりなかないでね!!!」 どんなに宥めようとしても、赤ちゃんゆっくりは泣き止まない。 そして、四匹目、五匹目…と順番に生まれていく。 生まれつき音の聞こえないもの。 硬すぎて跳ねることのできないもの。 「ぎょぎょぎょ」と気持ち悪い声を発しながら、芋虫のように這うもの。 目を覚ましても蔓から離れられず、終いには頭が破れてしまうもの。 十匹生まれれば十通りの奇形ゆっくりが生まれた。 赤ちゃんゆっくりにならずに、緑色の実のままの状態で落ちたものの方が幸運だろう。 その幸運すら、この一家にはなかった。 さっきまで、生まれてきた子ゆっくりと思う存分ゆっくりすることを思い描いていた親ゆっくり。 皆で草原をお散歩したり、水辺でゆっくりしたり、巣の中で固まって眠ったり… 畑のものを食べたらゆっくりできないよ、と教えてあげたり… いろんなことをしたかった。いろんなゆっくりをしたかった。 でも、それができない。この一家は、できないのだ。 そして、そんな一家を見てると僕は性的興奮に似た絶頂を覚えるのだ。 「さて、と…」 僕は次の準備に取り掛かる。 奇形赤ちゃんゆっくりに囲まれ、未だ泣き止まない親2匹に声をかける。 「やあ、赤ちゃんはかわいいかい?」 「ゆぐっ…へんだよおおおおおお…がわいぐないよおおおおおお……!!」 そりゃあな、僕だって見てて気持ち悪いもん。 でも、自分の赤ちゃんを“かわいくない”なんて言うなんて、困った親だなあ。 「そうかそうか、かわいくないか。じゃあ捨てちゃおう」 そう言って、目のない赤ちゃんゆっくりをピンセットでつまみあげる。 目の見えないゆっくりにとっては、その浮遊感は恐怖にしか繋がらないらしい。 「なに!?へんだよ゛!?ういでるよおおお!!??ごわいよおおおおお゛お゛お゛お゛!!!」 「おにーさんなにするの!?あかちゃんをゆっくりはなしてね!!」 まりさが僕に体当たりしてくるが、さすがゆっくり、全然効果がない。 むしろ、その弾力が気持ちいいくらいだ。 「だってかわいくないんだろう?だったら捨てちゃおうよ!」 「やめでよおおおおおお!!!がわいぐなぐでもまりざのあがぢゃんなのおおおお゛お゛お゛!!」 “かわいくない”ってところは否定しないのかよ(笑) 「かわいくないなら捨てちゃうよ!!ポイ!!」 鼻をかんだティッシュを捨てるように、赤ちゃんゆっくりをゴミ箱に放り込んだ。 ゆうううぅぅぅ、と悲鳴を上げながらゴミ箱の底に落ちていく、盲目ゆっくり。 底に溜めてある熱湯に突っ込んだそいつは… 「ゆぎゃあああああああ、あづいよおおおおおおおお!!!!みえないよおおおおおお゛!!!! ゆっぐりできないよおお゛お゛お゛お゛お゛!!!あがーぢゃんだじげでええええええ!!!!」 そんな悲鳴も、十数秒すると熱湯の中へ消えた。 「さーて、次はどいつにしようかな♪」 「もうやめでよおおおおおお!!!あがぢゃんずでないでええええええ!!!」 「えー、だってかわいくないんだろー?」 「おねがいじまずううううううううううう!!! れいむのあがぢゃんだずげでぐださいいいいいいいいいいい!!!」 子ゆっくりを片っ端から捨てるのも楽しいが、そこまで頼まれたらしょうがない。 僕は妥協案を提示することにした。 「…わかった。じゃあこうしよう!」 「ゆっ!?」 期待に目を輝かせる、親ゆっくり。 しかし、その期待はすぐに打ち砕かれる。 「れいむとまりさが赤ちゃんを一匹だけ選んでね!!その子だけは助けてあげるよ!」 「ゆううううぎゃああああああどおじでえええええええ!!??」 「どおじでそんなごといいうのおおおおおおおおおお!!??」 「選ばないと、全員捨てちゃうよ!!ゆっくりしないで選んでね!!」 「ゆぐっ!?」 選ばないと…子供が全員殺される。 それだけは避けようと、2匹は唯一の生き残りとする赤ちゃんを選ぶべく、辺りを見回す。 「おがーちゃん!!まりしゃをえらんでね!!」 「れいむしゅてられたくないよ!!ほかのこをすててね!!」 「ちにだぐないよおおおお!!おがーぢゃあああああん!!」 喋ることのできるものは、その言葉で親の気を引こうとする。 言葉を発せないものは、その目で親に訴えかける。 精神すらまともでないものは、何が起きているかも感知していない。 「早く選ばないと、全員捨てちゃうよ!!」 「ゆゆっ!!やめてね!!すぐえらぶからね!!」 そして、2匹の親ゆっくりが選んだのは…二匹目に生まれた、動けないゆっくり子れいむだった。 「どおじでええええええ!!??」 「なんでそのごなのおおおおお!!??」 「そのごはうごげないごだよ!?うごげるれいむをえらんでね゛!!」 選ばれなかった子ゆっくりは、たまったものではないだろう。 自由に動けるものは必死に母ゆっくりにすがろうとするが… 「ごめんね!!あのよでずっとゆっくりしてね…!!」 れいむは涙ながらに駆け寄った奇形子ゆっくりを跳ね飛ばした。 うまい具合に僕の足元に転がってきたので、そのままピンセットでつまみあげる。 「ゆぎゃあああああ!!!はなじでよおおおおお!!!」 「ごめんねー。でもお母さん達が、君たちの事かわいくないって言うからさー」 「ゆゆぅ!?れいむかわいいよおおおお!!!かわいいからすてないでねええ゛え゛え゛え゛!!」 そんな叫びも、ゴミ箱の中へ吸い込まれていった。 2匹の親ゆっくりは、自分達が選んだ一匹の子れいむを挟み込んで守っている。 悲しみと絶望に震えながら、唯一生き残るであろう子れいむを、しっかりと守っている。 「はーい、じゃあ君達はゴミ箱行きでーす!恨むならお母さんたちを恨んでくださいねー!」 「いぎゃああああああああああああああああ!!!!」 ぽいぽいとゴミ箱に放りながら、全体に聞こえるように呟く。 「あーあ、お母さんが、あんな毒入りギョーザと食べちゃったから」 「ゆっ!?」 「お母さんが、あんな汚いものを飲んだから、赤ちゃん皆かわいくなくなっちゃったよ!」 「なにをいっでるのおおおおおおおおおお!?」 「お母さんのせいで、皆気持ち悪くて汚い赤ちゃんになっちゃったよ!」 「おかしいよ!!ゆっくりせつめいしてね!!」 「ギョーザと飲み物にはね、危ないものが入ってたんだよ!!本当は食べちゃダメだったんだよ!」 そこまで説明して、やっと理解したらしい。 母体であるれいむは…自ら汚染物質を体内に取り込んだ。 それは子ゆっくりにも蓄積されていき、結果として奇形ゆっくりが生まれた。 やっと。やっと理解したのだ。 親ゆっくりも…そして、子ゆっくりも理解した。 自分がこんな酷い目にあっているのは、母親であるれいむのせいであるということに。 僕は心無い言葉を子ゆっくりに浴びせながら、次々とゴミ箱に放り込んでいく。 「おがーぢゃんのせいだあああああああああ!!!!だずげでええええええ!!!」 「はーい、お母さんがあの子を選んだので、皆あの世行きでーす!」 「おがーぢゃんなんがしんじゃえええええええええ!!!」 「その前に死ぬのはお前らでーす!!あの世でゆっくりしていってね!!」 「おがーだんだじげで!!みでないでだずげでよおおおおおおおお!!!!」 「お母さんはあの子を選んだので、君は助けてもらえません!!ゆっくり死んでね!!」 母ゆっくりを罵倒しながら、ゴミ箱の中へと消えていく子ゆっくりたち。 その言葉の暴力に、れいむとまりさは震えながら耐えている。 「ごめんね!!……あのよでゆっくりしてね…!!」 そして、選ばれた子ゆっくりを除くすべての奇形ゆっくりが…ゴミ箱の中でお汁粉に変わった。 一旦ゴミ箱を片付け、再び部屋に戻ってくる。 親子3匹がいるほうを見ると、どうやら最後の生き残りである子れいむが、両親を罵倒しているらしい。 「おがーぢゃんのせいでじぇんじぇんうごけないよ!!ゆっくりあやまってねええええ゛え゛え゛!!」 本当はすぐに飛び掛って噛り付きたいのだろうが、やわらかすぎて動けないので、それもできない。 その上、2匹の親ゆっくりの返答も酷いものだった。 「お、おかーさんは悪くないよ!!おかーさんはわるいものたべてないよ!!」 「そうだよ!!かわいくうまれてこなかったれいむがわるいんだよ!!」 「ゆぎゅううううう!!?どおじでぞんなごどいうのおおおお゛お゛お゛!!??」 生後10分で親子喧嘩か。すごいもんだな、ゆっくりって。 「はーい、そこまで!」 この前と同じように仲裁に入る。 「いいことを教えてあげるよ。二人の親のどっちかが死んで子れいむの食べ物になれば、子れいむは動ける ようになるよ!」 「ゆぎゅ!?ほ、ほんとうなの!!?」 それは親ゆっくり2匹にとって、衝撃であろう。 どちらかが犠牲にならなければ、目の前の子は一生動けないままゆっくりしなければならない。 親2匹は…どちらが犠牲になるか、選ぶことが出来るだろうか? 「どっちが食べ物になるか、ゆっくりしないで決めてね。ゆっくりしてると、手遅れになるよ!」 「ゆぎゅ!?それじゃれいむがあかちゃんのたべものになってね!!まりさはしにたくないよ!!」 急かされたせいか、焦ったまりさが思わず本音を漏らしてしまった。 となれば、二人の“ジョーカーの押し付け合い”はもう止まらない。 「どうして!?まりさがたべものになればいいよ!!れいむはあかちゃんうんだんだよ!?」 「れいむはあかちゃんうむだけで、ぜんぜんたべものとってこなかったよ!! やくたたずのれいむは、ゆっくりたべものになってね!!」 「おがーぢゃん!!げんがはやめでよおおおおおおおおお!!!!」 これが人間だったら恐ろしい会話だが、ゆっくりの場合だと笑えてくるから不思議だ。 さて…そろそろフィニッシュといこうかな。 「そうか、どっちも食べ物にならないなら…赤ちゃんが死ねばいいよね!!」 そう言って拳を振り上げ… 「やめでえええええええええええええええええ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「あがぢゃんにげでねええええええええええええ゛え゛え゛え゛!!!」 親2匹の絶叫とともに… グシャッ! 最後の奇形ゆっくりは、ただの潰れた饅頭になった。 「どっちも食べ物になってくれないなら、赤ちゃんは死ぬしかないよね!! だって、動けないままゆっくり生きていけるわけないもんね!!」 2匹は震えている。 「どうしたの?助けたかったの?でも食べ物になるほうを決めなかったよね。 助けたかったのに早く決めなかった二人が悪いんだよ!!」 それを聞いた2匹の、震えが…止まった。 そして… 「がああああああああああああ!!!???れいむのぜいだああああああああ!!!」 「まりざのぜいでじょおおおおおおお!!?まりざがたべものにならないがらああああ!!!」 2匹は、鬼のような形相で責任の押し付け合いを始めた。 「れいむのぜい!!ぜんぶれいぶがわるいの!!!ばかなれいむはゆっくりしね!!」 「ゆぎゅうううううう!!まりざがあがぢゃんだずげながったのがわるいの!!ゆっくりしんでね!!」 「ごろじでやるっ!!おおばがれいむなんがゆっぐりじね!!」 「まぬけなあほまりざは、ゆっぐりあのよであがぢゃんにあやまってね!!」 僕は外に通じるドアを開けておき、2匹を放っておいて自室に戻ることにする。 2匹の騒ぐ音がうるさいので、音楽を大音量で流してくつろぐことにした。 翌日。 2匹がいたはずの部屋を覗いてみると… そこにはゆっくり一匹分の餡子が、部屋を中心として放射状にブチまけられていた。 原形をまったく留めておらず、毛髪や飾りも残っていないので、れいむとまりさのどちらなのかわからない。 僕としては…できれば、れいむのほうに生き残っていてほしい。 あいつがまた子供を作れば、また奇形が生まれるに違いないからだ。 できれば、そうあってほしいな。 だってその方が、ロマンティックだろう? (終) 続く あとがき 虐待スレ10の 340前後を見て、勢いで書いた! まともに読み返してないので、誤字とかあるかも!! 後悔はしてな・・・・・・いや、半分ぐらい後悔してる! でも、自分が読みたいものが書けたからOK! ゆっくり読んでくれてありがとう!! 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2274.html
【潜入ゆっくりの巣24時】 ゆっくりが発生しお茶の間にも浸透してきた頃、僕の所属するTV局で、何となくこんな企画が持ち上がった。 ゆっくりの巣へ潜入し、その生活を密着取材する。 意見は当然割れた。 どうでもいい派と、誰が得するの?派だ。 間違いなく流れる企画、誰もがそう確信した時、救世主が現れた。 ロボマリサだ。 局長の知り合いの親戚だかが作り上げたこの人造ゆっくりは、ゆっくりにまりさ種として認識される高性能ロボットらしい。 合板を貼り付けて作ったようなその外見は、まさに玩具のブリキロボ。 その前時代的スタイルは、とても高性能には思えない。 しかし目にカメラが内臓され、暗闇でも高画質36時間の動画が撮れるという点が決め手になった。 「きみ、明日から暇でしょ? これ持って適当に24時間撮ってきて」 「え、マジですか? 放送するんですか?」 「撮れたのが面白かったら考えるよ」 間違いなく放送されない。僕は休日が潰れた悲しさに涙した。 だが上の命令は絶対だ。 こうして僕とロボマリサの1日が始まった。 翌日、どこぞの山奥まで行き、適当なゆっくりの巣を探す。 発見するのには10分もかからなかった。 剥き出しの土壌に不自然に積み重なった小枝、ご丁寧に小石で固定までされている。 どう見てもゆっくりの巣だ。 「うわぁ…」 見つけた喜びより、あまりの不憫さにため息が出てくる。 もう少し場所を選べよ。 まぁ、見つけてしまったからには、撮影を始めなければならない。 巣から離れた場所に糞重い機材を降ろし、ロボマリサを起動スイッチを押す。 ポチっとな。 「ユックリシテイッテネ!」 静かな森に響き渡る、ロボマリサの咆哮。 何というメカメカしさ。思わず操作用リモコンを持つ手が震える。 遠隔操作用のディスプレイと、集音用のヘッドセットを装着し、僕とロボマリサが一つになる。 視界良好、内臓カメラの性能だけは本物だ! 「よぅし、ロボマリサ突入だ!」 「ロボチガウ、ロボチガウ」 やる気に満ち溢れたロボマリサが、キュルキュルとキャタピラーで移動を開始する。 まずは邪魔な巣穴の覆いから撤去しよう。 「スイッチオン! チェーンジ、ロボマリサ!」 おもむろに口から飛び出すロボットアーム。 もそもそと除去作業を行う。 わずか数分で突破されるバリケード。工業高校卒業は伊達じゃない。 そのまま内部へと潜入だ。 暗く細長い穴を通り抜けると、開けた場所にたどり着いた。 ここが生活の拠点なのだろう。 中には親子連れのれいむが、真昼間っから惰眠を貪っている。 こっちはこれから徹夜なんだよ! このド饅頭が! 怒りを込めて、リモコンの「挨拶」と書かれたボタンを押し込む。 「ユックリシテイッテネ!」 「ゆゆっ!? ゆっくりしていってね!」 「「ゆっきゅりしていっちぇね!」」 目覚めたれいむ達の大合唱。耳が痛い。帰りたい。 しかし何が何でも24時間つきまとわなくてはならない。 どうやってここに居座ろうか? 思わず「お家宣言」と書かれたボタンを押したくなるが、これでは争いになる可能性の方が高い。 そんな困っている僕に、何と親れいむの方から助け舟を出してくれた。 「ゆゆ~ん♪ なんだか、すごくゆっくりしてるまりさだよぉ~」 「ロボチガウ、ロボチガウ」 ロボマリサ相手に、すりすりを始めるれいむ。 どうやら一目惚れしたらしい。鋼鉄の身体が逞しかったのだろうか? 取り合えず、こちらもすりすりで返すのが礼儀といものだろう。 「すりすり(強)」ボタンを押してやる。 「スリスリスルヨ」 「ゆっゆゆ゛ゆ゛っ!! ま、まりさ、はげしすぎるぅ! あかちゃんがみてるのにぃいい!」 「お、おかぁしゃん…?」 突如始まる母れいむの痴態。 見た事のない母の姿に、赤ちゃん達は怯えてしまっている。 ヤバイ。このままでは教育上ヤバイ。こんな時は(弱)ボタンだ。 「スリスリスルヨ」 「ゆ、ゆふぅん…ま、まりさのきもちはわかったよ。これからずっといっしょにゆっくりしようね!」 「わぁい、あたらちぃおかぁしゃんだぁ!」 どうやら無事家族として迎えられたようだ。 おめでとう、ロボマリサ。 相手がゆっくりで本当に良かったね。 この感動を、みんなにも伝えてあげよう。 僕は涙を浮かべながら「感動」と書かれたボタンをゆっくりと押した。 「ユックリシテイッテネ!」 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっきゅりしていっちぇね!」」 さっきの挨拶と何が違うんだろう…まぁ、いいか。 上手く行ってるなら問題はない。 次は、お宅を拝見させてもらうとしよう。 部屋の奥には、通ってきた穴とは別の穴が開いている。 あの奥にも別の部屋があるに違いない。 キャタピラー音を反響させながら、ロボマリサを前進させる。 その後ろから、赤れいむ達が楽しそうに跳ねてついてくる。 気に入ってくれたようで、何よりです。 にこにこ顔で見送る親れいむを残し、ロボマリサ御一行は一番右の穴を進む。 1mほど進むと、そこにはゆっくり一匹分の空間が広がっていた。 置いてあるのは、水溜りと少量の餡子だけ。他には何も見当たらない。 うーん、ここは餌の貯蔵庫だろうか? 「おかぁしゃん、ちーちーしゅるにょ?」 くそぅ! トイレかよ! 先に言えよ! よりにもよってトイレを引き当ててしまった。 こんな所に用はないので、ロボマリサを後退させる。 「バックシマス、バックシマス」 「ゆげぇ!」 「おかぁしゃ…ゆげぇ!」 「どぼぢで…ゆげぇ!」 何という悲劇。赤ゆっくり達が全滅してしまった。 後退中のキャタピラーに巻き込まれ、全身をすり潰された赤ゆっくりだった物が、ロボマリサの前に転がっている。 バックさせた結果がこれだよ。 仕方ない、見なかった事にしよう。 黒い餡子の塊を通路に残し、ロボマリサを親れいむの待つ部屋へと戻す。 部屋に戻ると、こちらの姿に気づいた親れいむが、早速声をかけてきた。 「ゆゆっ? まりさ、あかちゃんたちはどうしたの?」 そうだよな。そうくるよな。 仕方ない「言い訳(死1)」ボタンを押してみるか。 「アメガフッテトケチャッタヨ」 「と゛ぼ゛ち゛て゛お゛う゛ち゛て゛あ゛め゛か゛ふるのお゛おぉおおお゛!?」 もっともだ。「言い訳(死2)」ボタンで対処しよう。 「アリスガスッキリサセチャッタヨ」 「あ゛り゛す゛は゛こ゛こ゛に゛い゛な゛い゛よお゛ぉおおおお!?」 ですよね! 親れいむは白目を剥いて口を開き、ブルブルと震えている。怖い。怖すぎる。 しかし、不味い事になった。 言い訳ボタンは(死10)まであるが、その内容が解らない。 こんな事になるなら、事前に全部押して確かめておくべきだった。 困り果てた僕の目に、ひとつのボタンが飛び込んできた。 おっ? 「言い訳(死 赤ちゃん)」があるじゃないか。 最初からこれを押せば良かった。ポチっとな。 「コドモハマタツクレバイイヨ」 つ、冷たい…さすが機械。血が通ってない。 これでは親れいむの怒りが有頂天になってしまう。 僕は慌てて別のボタンを探すが、その必要はなかった。 「ゆっ! それもそうだね。れいむもまりさとのあかちゃんがほしいよ!」 つ、冷たい…さすが饅頭。血が通ってない。 すでに準備はオーケーなのか、頬を染めて身をくねらせている。 まったくどういう心境の変化だよ。恐ろしいよ! いや、前の子供を忘れさせるほど、ロボマリサが魅力的なのかも知れない。 そう思わないとやっていけない。 僕は親れいむの願いを叶えてあげるため、「スッキリ(前戯)」ボタンを景気良く押し込んだ。 「スッキリサセルヨ」 ロボマリサが大きく振動を始め、画面が上下左右に揺れまくる。 これは酷い。胃の中が混ぜかえる。吐きそうだ。 「んほおぉおお! まりしゃ、しゅごいいぃいい! はげししゅぎるうぅううう!!」 目の前まで近づいた親れいむの顔が、ディスプレイにドアップで映る。 なんて酷い顔なんだ。醜すぎる。吐きそうだ。 「スッキリサセルヨ」 「んほっ、んほっ、んっほおぉおお! まりしゃのはだ、ちゅめたくて、きもちいいのぉおおお!!」 「スッキリサセルヨ」 「まりしゃのぺにぺに、くろくて、かたくて、ふとくて、おっきいのおおぉおおおお!!」 「スッキリサセルヨ」 「ゆぎぃいいい! しゅ、しゅごい! おくにあたってりゅぅぅううう!!」 「スッキリサセルヨ」 「ゆががぁががあああ!! あんこでちゃうぅう! れ゛い゛ふ゛のあんこ゛れちゃうのおぉおお!!」 「スッキリサセルヨ」 「そこはまむまむじゃないのおぉおお!! らめぇえ! れ゛い゛ふ゛し゛んじゃう゛!! し゛ん゛し゛ゃう゛うぅうう!!」 「スッキリサセルヨ」 僕は黙々と「スッキリ(本番)」ボタンを連打した。 ディスプレイは見ない。青々と茂った素晴らしい森の木々を眺める。 キツツキが巣の子供に餌を運んでいた。心洗われる風景だよ。 20分程放置しただろうか? やっと親れいむの嬌声が聞こえなくなった。 そろそろ見てもディスプレイを覗いても大丈夫だろう。精神的に。 「あれ?」 ロボマリサの眼前にあったのは、餡子を撒き散らした親れいむの姿だった。 所々破られた皮に真っ黒な穴を穿たれ、そこから餡子が漏れ出している。 汚らしい粘液に塗れた表情は、恐怖に歪んでいるのか、悦びに歪んでいるのか、僕には判断出来そうにない。 「ロボマリサ、撤収だ!」 ゆっくりがいなければ、巣の中を撮影しても意味はない。 飽くまでも、ゆっくりの生活を撮るのが目的なのだ。 「仕方ない、次の巣を探すか」 「ロボチガウ、ロボチガウ」 戻したロボマリサと機材を回収し、再び山道を散策する。 鳥達の声が耳を和ませ、風に運ばた木々の香りが鼻腔をくすぐる。 いい山だ。今度は撮影無しで来よう。 その後、5つの巣を壊滅させ、僕とロボマリサの一日が終わった。 げすのまりさ、まじめなぱちゅりー、とかいはのありす、わからないちぇん、みょんのちんぽ。 全てが等しくロボマリサによって破壊された。 映像は2時間に編集され、ロボマリサVSゆっくりという番組名で放送された。 残念な事に視聴率は取れなかったが、放送されただけでも奇跡というものだろう。 ロボマリサは今も僕の部屋の片隅で転がっている。 局長の知り合いの親戚だかが返却を拒否したらしい。仕方のない事だろう。 僕は今でもたまに、ロボマリサを起動させる。 「ユックリシテイッテネ!」 六畳一間のわびしい部屋に、ロボマリサの元気な声が響いた。 おわり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4007.html
※今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 神徳はゆっくりのために 真社会性ゆっくり ありすを洗浄してみた。 ゆっくり石切 ありすとまりさの仲直り 赤ゆっくりとらっぴんぐ ゆねくどーと ※今現在進行中のもの ゆっくりをのぞむということ1~ ※注意事項 まず、上掲の作成物リストを見てください。 見渡す限り地雷原ですね。 なので、必然的にこのSSも地雷です。 では、地雷原に踏み込んで謙虚ゲージを溜めたい人のみこの先へどうぞ。 _______________________________________________ 弥生、三月。 朗らかな陽射しが大地にあまねく生命を祝福する、緑の季節がまた巡り来た。 「春ですよー!」 高らかに歌声を響かせる春告精が誘うのは、西からの柔らかい風と、その風が伝える優しく力強い春の息吹。 野山を鎖す白い雪は足早にどこかへと消え去って、大地はモノトーンから草花の鮮やかな彩へとその装いを変えている。 その多様な彩の合間に目を配れば、冬の厳しい環境を潜り抜けて春の恵みにありつくことが出来た多くの命の歓喜の様子と、 余裕を得た彼らが新たに生み出した真新しい命を見つけることもできただろう。 「むーしゃむーしゃ!」 「むーしゃむーしゃ!」 遠く妖怪の山にまで連なる広大な山地の一角、杉林の斜面。 ここにも一組、生まれて始めての冬をなんとかやり過ごした一組の生命が早速がつがつと集めてきた昆虫や草花を頬張っていた。 草木は枯れ果て、昆虫も姿を消す冬場はゆっくりにとって忍耐に次ぐ忍耐の季節だ。備蓄食料の在庫管理を怠って、敢え無く おうちの中での餓死を迎える家族の存在もそう珍しいことではない。 だから、そうした食事制限の一切から解放される春の訪れはとても幸せであるもののはずだった。 「むーしゃむーしゃ、へっくちょん!」 「むーしゃむーしゃ、はっくちょん!」 だが、斜面に掘り抜かれたおうちの奥底で備蓄の残余を食い尽くす勢いで食料に向かう二匹には何か、ゆっくりがゆっくりで あるために重要不可欠なものが足りない。 足りないだけでなく、語尾に余分なものがついていた。 「ゆゆっ。おかしいよれいむ! しあわせー!なごはんさんなのに、おあじがぜんぜんしないよ! へっくちょん!」 「ゆゆっ!? おかしいねまりさ! しあわせー!なごはんさんなのに、れいむもおあじがしないよ! はっくちょん!」 口に含んだご飯のかけらを飛ばしながら、ぎゃあぎゃあ騒々しく言い交わす二匹。実にゆっくりできていない。 そう、二匹に足りないのは「しあわせー!」だ。 腹いっぱい、おいしいごはんを食べているはずなのに、何故かしあわせー!を感じない。 むーしゃむーしゃをいくらしても、しあわせー!の代わりに出てくるのはゆっくりできないくしゃみばかりなのだ。 「「これじゃむーしゃむーしゃしあわせー!できないよ! ぷんぷん、ぷく……へっくちょん!!」」 誰が悪いのか、なんでくしゃみが止まらないのか。 ここにいるのはれいむとまりさの二匹だけなのだから、向ける相手は勿論どこにもいない。 とにかくやり場のないゆっくりできない気持ちを表現しようと二匹は「ぷんぷん、ぷくー!」としてみようとしたが、 頬を揃ってぷっくり膨らませたところでくしゃみが止まるわけでもなく。 吸い込んだ空気を残らず吐き出し、二匹は少し困った顔をお互い相手に向け合った。 「れいむ! まりさはかぜさんかもしれないよ! へっくちょん!」 「まりさ! れいむもかぜさんかもしれないね! はっくちょん!」 馬鹿は風邪を引かないというけれど、ゆっくりだって風邪を引くものらしい。 そういえば、あんまり気にしていなかったけれどどちらも少し涙っぽい目をしているようだ。 実にゆっくりとした感覚でようやく自分と相手の身体の異常を感知し、二匹は「ゆんっ!」と揃って頷いた。 「「おねつをたしかめようね! すーり、すーり!」」 わざわざそう宣言して、二匹はお互いぴったりすりすりと身体を寄せ合う。 といっても、親愛の表現や繁殖行為と違って、すり合わせるのはおでことおでこ。 難しい顔をつき合わせて「ゆゆゆ……」と唸り、額を突きあわせること数秒間。 「おねつはないみたいだね! へっくちょん!」 「じゃあかぜさんじゃないね! はっくちょん!」 すっと身を離した二匹は一瞬ぱぁっと笑顔を咲かせ、でも流石に直後のくしゃみに何にも問題が解決していないことに気付いたらしい。 すぐに顔を曇らせて、「ゆぅぅん」と慰めあうように身をすり合わせた。 『はーりゅでーしゅよー♪』 本当なら嬉しいはずの、春の訪れを告げるそんな声も今日のところはちっとも心が躍らない。 ごはんはおあじがしなくて、だからいっぱいたべてもおいしくなくて、おなかがいっぱいになるだけではあんまりゆっくりできなくて。 風邪なら、おなかいっぱい食べていたらその内治ってしまうけれど、風邪でないなら治し方だってわからない。 さっきの呼び声も、なんだかちょっとゆっくりできない感じがした。 空を飛んでいるはるさんは一人だけのはずなのに変に重なって聞こえたし……おみみも少し、おかしくなっているのかもしれない。 おうちの外に見える世界はとーっても蒼く晴れ渡っているけれど、二匹の心の中はどんより分厚い雲で覆われて、しあわせのおひさま なんてほんの少しだって目にすることはできなさそうだった。 というかそろそろ、二匹の心の雨雲からおめめを抜けて大粒の雨が降り出しそうな。 「ゆう、こういうときは……」 涙目まりさはどうしたらいいか考える。 これが何なのか、どうしたらいいか、まりさとれいむにはわからない。でも、物知りのぱちゅりーなら知っているかもしれない。 そうだ、物知りのぱちゅりーは色々まりさやれいむが知らないことを知っている。この間だって言っていた。 はるさんはとってもゆっくりできるけど、ゆっくりできないこともあるって。 『はーりゅでーしゅよー♪』 ゆっくりできなくなったのは、春さんが来てからすぐじゃなくて、このお声が重なって聞こえるようになってからのことで…… あ、ちょっと待て。このお話はなにか関係あるような気がしてきた。 ……ええと、それはなんだっけ? 「……そうだ! ぱちゅりーが、はるさんのあいだはかふんしょうさんになることがあるかもしれないっていってたよ!」 「ゆゆっ。かふんしょうさん?」 思い出した! まりさが狭いおうちの中でぴょこんと飛び上がって喜ぶと、れいむがびっくりした顔でずるずるっと反対側の壁までずり下がった。 まりさはぱちゅりーのお話を知っていて、れいむはそのお話を全然知らない。 何故って、冬篭りを終えて無事春を迎えた群れのみんなが初めて広場に集まった時、年長さんのぱちゅりーがまりさたちみたいな 初めて春を迎えるゆっくりたちに色々春の過ごし方を教えてくれたのに、れいむは陽気に中てられてゆぅゆぅ寝息を立てていたもの。 「ゆゆっ。そっか! れいむあのときすーやすーやしてたもんね! へっくちょん!」 「あのときっていつかわからないよ。ゆっくりせつめいしてね! はっくちょん!」 少し、得意げな顔でふんぞり返ったまりさにれいむは気分を害したらしい。 ぷくー、と膨れる番の姿にまりさは楽しそうにくすくすと笑って、でもそれ以上は意地悪せずに素直に教えてあげることにした。 「ぱちゅりーはおはなさんがとってもゆっくりできているときに、かふんさんがいっぱいとびだすと、ゆっくりかふんしょうになるって いってたよ!」 花粉症になると、匂いがわからなくなったり、味がわからなくなったり、くしゃみが出たり、涙が出たりするらしい。 それって風邪さんとどう違うの?って質問も当然出たけれど、そこはぱちゅりーも上手く説明はしきらない様子で。 『むきゅ、それはほんとうにかふんしょうさんになっちゃったらわかるわ。とにかく――しちゃだめよ』 なんて誤魔化していたのも、まりさはついでに思い出した。 「……ゆぅ。そういえば、ほかのせつめいもそんなかんじでおわっちゃったようなきがするよ……っくちゅん!」 ぱちゅりーは確かに物知りだけど、あまりその知識は役に立たないような。 そんなことに思い至って、まりさは小さめの溜息を吐いた。うん、ぱちゅりーを頼りにするのは少しだけ考え直したほうがよさそうだ。 もっとも、その場にいたけど全く話を聞いてなかったれいむは全く違う感想を抱いたらしい。 「じゃあ、いまはおはなさんはゆっくりできてるんだね! それはとってもゆっくりしてるよ!」 ゆっくりしているのは、いいことだ。 それがおはなさんだって、まりさやれいむに食べられるむしさんだって、ゆっくりしている時は邪魔しちゃいけない。 それでまりさやれいむたちが少しゆっくりを我慢しなくちゃいけないとしても、他人のゆっくりを台無しにするのはとっても ゆっくりできないことだった。 そんな純粋なれいむの喜びには、まりさとしても少しも異論はない。 ――とてもたいせつな何かを忘れてしまっているような気が、ほんの少しだけしたけれど。 でも、そんなの、思い出せないならどうでもいいことなんじゃないだろうか。 「「おはなさん、かふんさん、はるさん、ゆっくりしていってね……へっくちょん!」」 だから、まりさはそれ以上考えなかった。れいむはもとより知らないのだから、何かを思うこともなかった。 とにかく自分のゆっくりは、後回しだ。かふんさんが思う存分ゆっくりしたら、自分もその後でゆっくりできるはずだから。 『はーりゅでーしゅよー♪』 まりさとれいむが春と野山の草花に向けて投げかけた心からの祝福に応えるように、またおうちの外からそんな声がやっぱり 幾重にも重なりあって聞こえた。 二匹はそれを春からの返事なのだろうと、漠然と信じた。 もちろん春という季節が、なにがしかの言葉を紡ぐことなんてありえないのだけれど。 「れいむ。はるさん、とってもゆっくりしてるよ!」 「まりさ。はるさんにもういっかいごあいさつしようね!」 しかし、信じたれいむとまりさは何とかして春の顔を見たくなった。 見て、きちんと笑顔で挨拶に答えてあげたくなった。 だからいそいそとおうちの玄関まで這い出して、もう一度、お花さんにも負けない満面の笑みを咲かせてお決まりの挨拶を投げ返す。 「「ゆっくりしていって……ゆげぇ!?」」 ……投げ返す、つもりだったのだけど。 その挨拶半ばにして、お外を眺め渡した二匹の顔が奇妙な声と共に歪んだ。それはもう、傍から見ていてこっけいなほどに。 どう見てもゆっくりできていない顔立ちを見せて、二匹はその場で凍り付いてしまった。 『ゆーっきゅり、しちぇいっちぇねーー!』 おうちをぐるりと取り巻く『春』は、愕然としたままのれいむとまりさに向けて確かに言葉を返した。 驚愕に揺れる二匹の目にもそれらは確かにとってもゆっくりとした笑顔で咲き乱れていた。 ……ただ、その『春』たちが咲き乱れている場所が、失望だったり絶望だったり諦観だったり逃避だったり、とかくゆっくりには 程遠い顔をした群れのゆっくりたちの頭に生えた茎の上だったりするのだが。 『はーりゅでーしゅよー!』 みんなの頭に鈴生りに生る『春』は、眼下の親の悲歎なんか気付きもしない様子で愛らしい声を揃えて春を謳う。 その頭に被るのは、一様におそろいの三角帽子。親の種類なんてまるで関係ない。 それは形も違えば色も違う。赤ちゃんたちのお帽子は、つばのない白い三角帽子に大きな赤いリボンが付いている。 (『かふんしょうさんにかかったら、はるですよー、っておこえがきこえてるあいだはおうちをとじまりしておそとにでちゃだめよ』) ……そういえば。 目にしたものの衝撃から立ち直らないままのまりさは、ようやくのことであの日ぱちぇりーが教えてくれたことの続きがどんなもの だったかを思い出していた。 (『そうしないと、からだにたまったかふんさんのせいではるさんのあかちゃんができちゃうから、きをつけてね』) そうだ。ぱちゅりーは『はるさんのあかちゃん』ができるといっていたんだ。 教えをぼんやりと思い出すうちに、頭頂部のむずむずとした痒みと、身体からどんどん餡子が抜けていく感覚が同時にまりさを襲った。 ここまで来たらさすがに、まりさの頭でも深く考えなくたって分かる。 「どおじでごんなごどになっでるの……?」 それでも自分の頭を確認するのが怖くて、ほんのわずかばかりの期待を込めてまりさは隣のれいむの方をちらりと見た。 「「……ゆげげっ」」 ちらりと見て、やっぱりこっちを縋るような目で見ているれいむと視線が衝突して、そのままお互いの頭の上へと視界を移動させて、 それから同時に小さな悲鳴と少量の餡子を口から吐き出した。 二匹の期待も空しく、真っ白な雲が漂うお空を背景にしてすらりと伸びた緑の茎。 そこに鈴生りに生るのはれいむともまりさとも形も違えば色も違う小さな赤ちゃん、三匹ずつ。 未だ目覚めぬその小さな赤ちゃんたちのお帽子は、つばのない白い三角帽子に大きな赤いリボンが付いている。 つまり、群れのみんなが浮かない表情で見上げている赤ちゃんたちと全く同じ種類の、ゆっくりの赤ちゃん。 極めつけは、この子達の背に生えた昆虫のような羽だ。こんなもの、この群れのゆっくりには一匹だって生えていないのに。 どうしてこんな事にと聞いても応えてくれそうな相手はいない。 よく見ると、今のこのことお外に出ていたのは自分と同じで春を迎えたのは生まれて始めての若いゆっくりしかいないようだったから。 つまり、大人のいうことをきちんと聞いていなかったお子様ばかりだったということで――まりさはこれからはきちんと、年を取った ゆっくりの言うことは聞いておこうと心に決めた。 ……それは今この場の問題を解決するには遅すぎる決意だったけれど、これからのゆん生にはとても大切なことではあるはずだ。 特に、そう。たとえば望まずして出来てしまった子の育児とかのために。 「ゅっ……」 「……ゅきゅっ……」 せっかくの陽気だというのに、『これから』を想像してげっそり疲れきってしまったまりさとれいむが見上げる先。 普通のにんっしんっならありえない速さでゆっくりとしての形を成してゆく赤ちゃんたちが、早くもごにょごにょと意味を成さない 音の羅列を口から漏らし始めている。 実際に茎から生れ落ちるのはまだ先のことだろうけど、この分なら目を見開き元気な挨拶を『両親』に向けて放つのは遠くない。 「……れいむ。ふゆごもりようのごはん、まだのこってたっけ」 「うん、まだのこってるよ……」 感情の篭らないぼそぼそとしたまりさの問いかけに、応えるれいむの声も似たようなもの。 それを耳にしたまりさは「そう、よかった」と呟いて、別に今更残っていなくても大丈夫かと思いなおした。 かふんしょうさんで赤ちゃんが出来てしまった以上は、今更お外に出る制限なんてないのだから。 お外にさえ出てよいのなら、ごはんは幾らでも集められる。季節はもう、寒くて野山にごはんの乏しい冬ではないのだし。 「「「「「「ゅきゅ……ゅきゅっ。ゆゆっ!?」」」」」」 そう。それはとても忌々しいことではあるのだけれど。 陰鬱な想いを消せないままに、まりさは頭上にその声を聞いた。 「「「「「「おきゃーしゃん? おきゃーしゃん、ゆっきゅりしちぇいってにぇ!」」」」」」 そう。忌々しいことに、春はまだ、目覚めたばっかりなのだ。 * * * 「おお、子宝子宝。おつむの中身同様、春めいたことで実に結構な騒ぎですね」 春だというのに暗雲たちこめるゆっくりプレイスを見下ろす木の枝で、一匹のきめぇ丸が嘲笑とも苦笑ともつかない笑いを 右往左往するゆっくり達に向けている。 いや、ひょっとするとそれは憐憫、もしくは共感に類する笑みだったのだろうか。 覇気のない笑顔を浮かべるきめぇ丸の頭の上には、ごたぶんにもれず白い帽子を被った赤ちゃんを実らせた茎が伸びていたのだから。 「「「ゆーゆゆー♪」」」 きめぇ丸は知っている。 今頭の上で楽しげに歌声を合わせているこの子達は、春の終わりには前触れもなく風に誘われるようにしていなくなってしまうことを。 人里や多くのゆっくりの間では、初春に突然大量発生し、初夏までにいっせいにどこかに姿を消してしまうと思われている準希少種、 ゆっくりりりー。 それがこの赤ちゃんたちの名前だった。 彼女たちは背中に生えた透き通った翅に五月の風をいっぱいに受けて、どこか根付くべき土地を求めて旅立ってしまうのだ。 そしていつかどこかの大地にたどり着き、そこに根を下ろし、雨にも溶けず鳥獣や昆虫にも食われずに済んだ一握りの子供だけが、 ゆ木となって森を作るという。 そうしてゆ木となったりりーほわいとたちは、歌うことなく、しゃべることすらなく春までひたすらに静かに過ごす。 実は付けないがゆっくりの好む味の葉を多く大地に落とす森として、多くのゆっくりを惹きつける。 「おお……おろかおろか」 「「「ゆっ♪ ゆっ♪」」」 やはりこの年に成体になったばかりの若いゆっくりとして、うかつにもその罠に引っかかってしまったきめぇ丸は頭上のわが子を リズミカルに揺らしながら、今度ははっきりとした自嘲の笑いを口元に浮かべた。 そう、あまあまな落ち葉こそがりりーのゆ木が集まるこの森の罠だ。 春に枝いっぱいの白百合に似た花を咲かせ、多くの花粉を飛ばし――落ち葉の味に惹かれてやってきたゆっくり達に、わが子を 数多宿らせるための。 きめぇ丸は同族に教わった知識をなぞって軽いため息をつき、湿度の高い視線を背後に聳える木の幹へと向けた。 上空から見れば枝葉にすっぽり覆い隠されたその部分の樹皮に、顔のような凹凸が隠されていることにどうしていま少しばかり 早く気づくことができなかったのだろう 「はーるでーすよー♪ ゆっくり、していってね♪」 「おお、拒絶拒絶。子供を育てるということまで含めて、悉く拒絶させていただきます」 その顔のような凹凸――ゆ木となったりりーの成体の歌声に、きめぇ丸は酷く嫌そうな口ぶりで応じた。 そして、なんの躊躇もなく茎を赤ちゃんごと幹、りりーの顔のある部分のすぐ傍へと叩き付ける。 声もなく弾ける、三匹の赤ちゃんゆっくり。飛散した微量の餡子が、りりーの顔をわずかに汚した。 りりーはわが子の無残な末路に一瞬不満そうに目を細めて――しかしすぐに、何事もなかったかのように花のような笑みを咲かす。 「はーるでーすよー♪」 「おお、非情非情。まああれだけ実が生っていれば十分なのでしょうかね……」 不本意に生まれた子だ。育てず、異物として排除するゆっくりはこのきめぇ丸に限ったことではない。 だからこそ、膨大な花粉を飛ばし、数多の子供を作らせる。 別に気にする必要も感じないのだろう、無邪気なゆ木りりーの歌声にきめぇ丸こそ呆れた、いささか非難を含む目を声の主へと向けた。 地上から聞こえるのは、多くの嘆きと幾らかの怒り、そしてたくさんの幼過ぎる歌声と、末期の言葉。 理不尽な子宝を得て育てようと決意するもの、間引くことに決したもの、つがいや姉妹間で意見が纏まらず争いとなったもの、 春から若ゆっくりの間に――多くはこの森に対する無知、油断による――不幸が齎されたゆっくりプレイスはいつも以上に賑やかだ。 そんなゆっくりプレイスの喧騒と、ゆ木りりーの歌声とを聞きながら、きめぇ丸はふわりと空へと飛び上がる。 花粉の季節そのものは、もうじき一応の収まりを見せるはずだ。収まったら、またここに来よう。 きっとその頃には、ある程度育った子供とその若い親を中心にもっと素敵で、悲劇的な光景が幾つも繰り広げられているだろうから。 地上を一瞥したきめぇ丸は、最後に心底からの笑いを見せた。 春が、赤ちゃんが、通常のゆっくりが言うようにひたすらゆっくりできる存在だというならば。 「おお、祝福祝福。赤ちゃんといっしょに、ゆっくりしていってね!」 地上で失意に打ちのめされる若いゆっくりたちに、それができないはずがないのだから。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/539.html
「よし、無事完成。あとは野に放つだけだ!」 誇らしげな表情の俺の目の前にあるのは直径1.5mくらいの球体。中は空洞で、一応入ることが出来る造りだ。 こいつの名前はゆっくりボール チャリオットバージョン。 その巨躯は今までのゆっくりボールの中でも最高の強度を誇り、下級の妖怪にさえ破壊することは出来ない。 しかも、外側には無数の透明な刃(刃渡り5mm前後)が無数についていて、触れれたものを捕らえて離さない。 ゆっくりを保護するという一点においてこのボールほど強力なものはないだろう。 などとどこかの誰かさんに解説している間にも1匹の母まりさと3日分くらいの食料と水を中にいれて、村の入り口へと解き放った。 「さあ、まりさ。ゆっくり君の里に帰って良いよ」 「ゆ!かえっていいの?!」 このゆっくりまりさは野生種だが、それにしては珍しくかなりの規模の集落に所属しているらしい。 “らしい”というのは餌を取りに出かけていたこいつを保護し、まりさ自身からその話を聞かされただけに過ぎず、実物を見ていないからだ。 「それじゃおじさん、さようなら。ゆっくりしんでね!」 善意の保護を捕獲と勘違いして、俺に敵愾心を抱いているらしい。去り際に酷い捨て台詞を吐かれちゃったぜ! よし、決めた!追いかけていってあいつの仲間も全員保護しちゃうぞ~♪ 「ぎゃお~、たべちゃうど~♪」 というわけで、まりさinゆっくりチャリオットを追いかけること13分と28秒。 絶好のタイミングでゆっくりれみりゃが現れてくれた。しかも母1匹に子ども4匹というゴキゲンな組み合わせだ。 「ゆ・・・ゆぅぅぅぅぅうう・・・」 ゆっくりにはチャリオットの強さなんて簡単には理解できない。まりさは本来なら遭遇しないように立ち回るしかない脅威を前にただひたすら怯えるばかり。 そもそもこのボールシリーズ全部透明だから、馬鹿なゆっくりだと自分がそれに入れられていることさえ忘れるんだよな。 「ぎゃお~♪」 「「「「だべぢゃうど~♪」」」」 と、お約束の聖者は磔にされましたを彷彿とさせなくもないポーズで五方から迫るゆっくりゃ。 格下のゆっくりまりさ相手に5匹で包囲して退路をふさいでから襲い掛かるのか。ゆっくりゃにしては珍しく、なかなか統率の取れた集団のようだ。 「ゆ、ゆっくりあっちいってね!」 そんなまりさの叫びも虚しく、鋭利な爪の生えた腕を振りかざした母ゆっくりゃは獰猛な四足獣の如き勢いでまりさに飛び掛る・・・ッ! もはや命運尽きたといわんばかりの絶望的な表情で全身をこわばらせるまりさ。 「れみりゃがいちばんだくさんたべるど~」「いちばんはいちばんぷりぢーなれみりゃだど~」などなど、好き勝手にはしゃぐ子ゆっくりゃ。 哀れなゆっくりまりさの短い生涯はここで幕を閉じる! 「・・・あぎゃ!?」 と、本来ならなるはずなのだが、透明なチャリオットの存在に気付かなかった母ゆっくりゃは目測を誤り、小さな刃の並ぶチャリオットの壁に激突した。 小さな刃であったため中の具がはみ出ることはなかったが、チャリオットに抱きつくような格好で激突したため、上半身のいたるところに満遍なく刃による刺し傷が残っている。 「・・・う!?」 予想外の事態に困惑する子ゆっくりゃ。 「う゛あ゛ーーーーーー!!!いだい゛ーーーーーー!!!ざぐやーーーーーーーーー!!!!」 獲物に届かない理不尽と驚きと、そして何より痛みのせいで我を忘れ、両腕で自分を抱きかかえるような格好でひっくり返ってのたうち回る母ゆっくりゃ。 「ゆ?・・・ゆ!」 一瞬、状況が飲み込めずゆっくりゃ同様に困惑顔になるも、俺の家にいたときに何度かボールに入った経験のあるまりさはすぐに自分の身の安全を理解する。 「おが~じゃ~ん?」 「だいぢょーぶだどぅ~?」 「「いだいの、いだいのどんでげー、だどぅ~♪」」 そんなまりさにわき目も振らず、負傷した母ゆっくりゃのもとへ駆け寄る子どもたち。 う~ん、やっぱり統率取れてるなぁ~。あれか、これが噂のかりすまって奴なのか。 特に手当てをするわけでもないが、心配そうに親の様子を伺っている。 もちろん、格下で、自分達にとっては餌に過ぎないまりさに背を向けて。 「ゆっくりしね!!!」 瞬間、まりさがゆっくりらしからぬ速度でチャリオットを操り、母を気遣う子どもの一群に突撃した。 叫び声に反応して回避しようとするものもいたが、目に見えないチャリオットをかわしきれず、母同様に全身を小さな刃で傷つけられる。 「いぎゃーーーー!!!」 「いだいどぉ----!!!」 「ざぐやーーーー!!!!」 「だずげでーーー!!!」 ものの見事に一撃で4匹全員戦闘不能。汚らしい絶叫を撒き散らしながら地べたを跳ね回るゆっくりゃたちからは先ほどまでの余裕など微塵も感じられない。 理解不能な状況への困惑と全身の痛みで逃げることすらままならない5匹。 しかし現実は無慈悲にして残酷。これはチャンスとばかりにまりさは拙いなりにもチャリオット駆り、何度も何度も執拗にゆっくりゃたちに襲い掛かる。 二回目の攻撃で1匹の子ゆっくりゃは完全に頭部を粉砕され、中身を撒き散らし、そのまま微動だにしなくなった。 「あ゛ーーーーー!!れびりゃのあがぢゃんーーーー!!!」 運よく攻撃が当たらなかったものの、わが子を殺された母ゆっくりゃは大量のしわを作り、涙で顔をぐしょぐしょに濡らして元々見苦しい膨れっ面を更に気持ち悪いものへと変えてゆく。 「いだい゛!!いだいーーー!!」 「おてでが!!おでてがーーーっ!!!」 「うぅ~~~~☆ にぱぁ~~~~~~♪」 あるものは右腕をすりつぶされ、またあるものは左足をねじ切られ、またあるものは顔の1/3と精神を粉々に砕かれていた。 これが人間だったら目を背けたくなるような阿鼻叫喚の地獄絵図であっただろう。 そして少し間をおいての三回目の攻撃は親の両足を瞬く間にすりつぶした。 「ギャおおおオおぉおぉぉォオオおおお!!!!!!?」 上半身は刺し傷だらけ。下半身はもはやない。全身傷だらけで、具の半分近くを持っていかれた母ゆっくりゃは半ば虫の息だ。 立て続けの四回目の攻撃。幸運なのかそれとも不運なのか、母ゆっくりゃを粉砕しようとしたチャリオットは石に躓き宙を舞う。 結果、母ゆっくりゃは死を免れた。しかし、チャリオットは顔を1/3そぎ落とされた子ゆっくりゃへと落下し、その胴体を粉砕、大量の具を撒き散らした。 「うぎょあ!?!」 悲鳴とも呼べない奇声を発し、顔だけになってしまった子ゆっくりゃは・・・ 「れび☆ぢあ・・・う゛ー」 あまりにも場違いな言葉を口にすると同時に満面の笑みを浮かべた。その表情はゆっくりゃにあるまじき可愛らしさだ。 「ぷでぃ、ぷでぃん、ぷでぃ・・・」 しばらく痙攣しながらも笑顔で意味不明な言葉を発し続け、最期にはやはり笑顔のまま息絶えた。 もはや誰がこの場を掌握しているのかは明白。チャリオットの中のまりさは口の両端を吊り上げ陰惨とした笑みを浮かべている。 「ぅあう・・・」 痛がっている場合じゃない。母ゆっくりゃはまだ生きている子どもたちに目もくれず腕の力だけで這って逃げようとする。 「おが~ぢゃ~ん!?」 「うぎゃ!?れびりゃをだづけどぅーーー!!!」 見捨てられた子ゆっくりゃはこの世の終わりでも到来したかのような表情で母の背中を見つめる。 だが、全てをかなぐり捨てた必死の逃走には何の意味もなかった。 「ゆっくりさせないよ!」 もはやゆっくりとさえ呼べないような速さで這いずるしか出来ない母ゆっくりゃの正面を取ったまりさは潰さないように加減した突撃を当てる。 「うぎゃ・・・!?」 短い悲鳴とともに弾き飛ばされた母ゆっくりゃは新たな刺し傷と失った両足から餡子を垂れ流しながら子どもたちのすぐ傍へと弾き飛ばされた。 「いや゛ぁぁぁぁああああ!!!あ、あああ、あがぢゃん!?あああ、あう!?」 落下の際の衝撃で左腕も使い物にならなくなってしまったらしい。唯一自由に動かせる右腕で先ほど息絶えたの笑顔の子どもの生首を引っつかむとそれをまりさのほうに差し出す。 つまり、子どもはやるから見逃してくれということだろう。かりすまは何処へやら。全く酷い親だ。 「お゛がーぢゃーん!?」 「うあ゛ーーーー!!」 その行動は生き残っている2匹の子どもたちを更なる絶望のどん底へと叩き落した。 それを見た瞬間のまりさの笑顔のエグいことエグいこと。 「こゆっくりゃ!!」 エグい笑みを浮かべつつ、偉そうに子ゆっくりゃを呼びつける。 「は、はい゛ーーーーーー!!」 「あ゛ーーーーーー!!!」 痛みと恐怖と絶望からか、思った以上に従順な態度を示す子どもたち。 「そのゆっくりゃをゆっくりたべてね!」 あ~あ、こりゃ母ゆっくりゃ死んだな。自分が先に子どもを差し出そうとした以上、子どもも待ってはくれないぞ。 で、14分と23秒後。 そこには母ゆっくりゃのおべべだけが残っていた。 「「う゛ー!!ぜんぶだべだどぅーー!!」」 2匹の子ゆっくりゃは場違いなほど嬉しそうな笑みを浮かべながら、そのおべべを指差す。 「ぜんぶだべだから、ぷっでぃ~ん・・・ぷぎゃ!?」 何かを言い切る前にまりさのチャリオットアタックで右腕のもげた子ゆっくりゃが圧殺された。 正中線をなぞるように踏み潰されてぺちゃんこになっており、チャリオットの破壊力を100%受けきったらどうなるのかを見事に体現していた。 きっと「ぜんぶ食べたからプリン頂戴」と言おうとしたんだな。 こーまかんのおぜうさまにとって言うことを聞けば報酬があるのが当然なんだろう。だからあんなに嬉しそうだったのか。でも、こいつら野生種っぽいような? 「・・・う?」 唯一生き残った左足のない子ゆっくりゃもまた言うことを聞けばプリンを貰えるものだと思っていたので、何故か仲間が殺されたその状況と意味が理解できず呆然とする。 「ぷっでぃ~んは?」 と、小首をかしげているところに容赦なく、まりさが襲い掛かってきた。 「ギャおああああああああアああああああ!!!ブッでぃいいいいぃぃっぃgsねwgん、srgbんcぢkwsdcうぇr!!!」 その一撃で体の左半分を粉砕され、大量の具を撒き散らした子ゆっくりゃはもはや何を言っているのか全く聞き取れない絶叫を残して、動かなくなった。 「ゆっくりしていってね!」 まりさはもはや1匹たりとも動くもののいないゆっくりゃの群れに向かって今まで以上にえげつない笑みを浮かべたまま、お決まりの文句をはき捨てると、その場を後にした。 そんなこんなで18時間と26分19秒後。 あるときはゆっくりゃを上回る能力のゆフランをもたやすくなぶり殺した。 またあるときは発情したアリスの群れを全く寄せ付けることなく轢き潰した。 更にまたあるときは3頭の蛇をまるでそんなものいなかったかの如く蹂躙した。 挙句の果てには人間でさえも敵わない野犬12頭の群れをいとも容易く一蹴した。 そうして、ゆっくりまりさはようやくゆっくりできる自分の故郷へとたどり着いたのだ。 「あ、おかーしゃんだ!」 真っ先に母の存在に気付いたのは6匹いる子どもたちの末っ子のゆっくりれいむだった。 「おかーしゃ~ん!!」 「れいむーーー!!」 実に涙ぐましい感動の再開。でも、何か大事なことを忘れちゃいないか? と、俺が思案にふけっていたそのとき・・・。 「ゆぎゃ!?」 という悲鳴とともに幼いれいむが空中で何かに激突し、更にそのまま轢き潰され、中身の餡子を撒き散らした。 あ~、そうかそうかそうか。外敵だけじゃなくて、家族や仲間も粉砕してしまうのか。こりゃうっかりしていたぜ☆ などと、俺が一人納得していると村中のゆっくりがわらわらと集まってきた。 「まりさ・・・こどもをころすなんて・・・しばらくみないあいだにゆっくりできなくなったんだね」 そういってまりさを攻めるのはすでに母にはなっているであろう大きさのゆっくりれいむ。 「ゆ!?ちがうよ、したくてしたんじゃないよ!!」 「むきゅ・・・そんなの、かんけいない。おきてはおきて・・・」 まりさの反論をぼそぼそと却下するのはこれまた成人サイズのゆっくりぱちゅりー。 更にどんどん集まってくるゆっくりたち。最前列に大きなゆっくりが立ち並び、その後ろで子供や赤ちゃんが様子を伺っている。 「おかーしゃんはそんなことしないよ!」 そんなゆっくりの群衆の中をかき分けて飛び出してきたのは5匹の子ゆっくり。2匹がれいむ種で3匹がっまりさ種だった。 まりさの感涙に咽ぶ表情から察するにあのまりさの子供だろう。小さい鳴りに必死で母を守ろうとしている。 「み゛、みんな゛ぁぁぁぁあああああ!!」 あくまで自分を信じようとしてくれる子供たちに頬ずりしようとするまりさ。 あ、そんな事したら・・・ みちっ、ぶちゃ、むりゅ、ぐじょ・・・めりめりめりめり・・・! あ~あ、やっぱり。またやっちゃったよ。散々そのボールに頼ってここまで帰ってきたくせにどうして肝心なときにそれの存在を忘れるかね? 叫ぶ暇すら与えられずに押しつぶされた子どもたち。あたり一面に飛び散る餡子。呆然とする母まりさ。そして・・・ 「ゆっくりできないまりさはゆっくりしね!」 誰かの合図をきっかけに子殺しの罪ゆっくりに制裁を加えるべく飛び掛るゆっくりたち。 もちろん、ボールなんて見えていないし、何故触れてもいないのに子どもたちが潰れたのかなんて考えようともしない。 「やめでええええええええええええ!!!」 しかし、誰も罪ゆっくりの言葉など聞くはずもない。飛び掛ったものはことごとく刃によって傷つけられた。 誰も傷つけまいと必死で逃げるまりさ。だが不運にも逃げている最中にアリス種の赤ちゃんゆっくり3匹を踏み潰してしまった。 「ああ゛ああ゛あああ゛あ゛!!アリズのあがぢゃんがあああああああああああ!!!」 「まりさをころせえええええええええええええええええ!!!」 「ゆっくりしね!!」 「だべええええええええええ!!来たらさざっぢゃうううううう!!!!」 怒声とともに飛び掛るゆっくりたち。しかし、チャリオット相手に敵うはずがない。 「おがーーーーーざあああん!!!いだいよおお!!!!」 ある子どもは親にほめられたいがためにまりさに突撃して、またある子どもは逃げるまりさに轢かれて、またある子どもは大人たちに下敷きにされて潰れる。 「あのれいむも子どもをころしたよ!!!」 とめどなくあふれる罵詈雑言。子を、親を呼ぶ悲鳴。怒りが引き起こす数々の惨劇。 繰り返される惨劇の連鎖はとどまることを知らない。 「ばじゅりぃぃぃいいいいいい!!!しんじゃだべえええええええ!!!」 「ゆ、ゆっゆっゆっゆっゆ・・・・ゆぅ?うっめ!めっちゃうめぇ!!」 その子どもは気が触れてしまったらしい。純真無垢な笑顔で母親の死肉を食い漁っていた。 「ゆゆ!!このこ、ははおやをたべてるよ!!ゆっくりおしおきしなぎゅおああああああああああああああああああああ!!!」 「みんなが!!みんながぁ!!わるいんだぜ・・・!!ゆっくりしてればいいのに!!ゆっくりできないならまりさがゆっくりさせてあげるよ!!」 そして狂気がゆっくりの里を飲み込んでいった・・・。 そんな地獄絵図を背に、俺は人里へと引き返した。 この悲劇はゆっくりだからこそ起きた間抜けな喜劇などではない。 これは教訓なのだ。寓話なのだ。 身を守るための道具であっても使い方を誤れば、その恐ろしさを失念すれば自らを傷つけることになる。 そして時には自分の大事な人々を傷つけることになる。 胸に手を当てて考えてみてほしい。人間だって似たような悲劇を何度も経験しているだろう? などと、一人格好良くナレーションをしながらゆっくり歩を進める俺だったが、ある重要な事実を思い出して駆け足になる。 「そういえば・・・紅魔館から依頼されたゆっくりボール・エレガント・ウォーカー~これで君も社交界の鼻~の納品日って明々後日だったな」 さて、ゆっくり急いで仕上げるか!! -----あとがき?----- 書き込めるってシアワセ・・・。 気がつけばゆっくりボールも4作目。 いつも突貫で仕上げるので誤字脱字が酷いぜ。 珍しく虐待分多め?でも、終盤のゆっくりは最早ゆっくりじゃねえ。 ゆっくりボール1号 理想 押さえつけることで成長抑制。しかもボールの中は安全だよ 現実 安全云々以前にボールの中で終わらない苦痛を味わい続ける ゆっくりボール2号 理想 これでゆっくりも人間と一緒にスポーツが楽しめるよ 現実 ボール代わりにされた挙句、発情してもイけない地獄 ゆっくりボール3号 理想 押さえつけることで子どもがあまり成長させずに小さいサイズで産ませる 現実 押さえつけられた影響で母が多大なストレスを受け、奇形の未熟児になる ゆっくりボール4号 理想 絶対防御。これならどんな外敵も安心だ 現実 無差別虐殺装置。しかも食料も取れない これらを製造しているゆっくり愛好家は間違いなくゆっくり脳。 彼は本当にゆっくり好きなんですが、ゆっくり脳なので作るものが全て裏目に出ているだけ。 しかも、ゆっくり脳で自分の都合の良いように解釈するので全く自重しない。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5096.html
※俺設定注意 この世に飼いゆっくりという概念が誕生して暫くになる。 嘗てはただのお饅頭の代用品、くらいの扱いだったゆっくりは今や一ペットとしてある程度の需要を満たす存在となっている。 もちろん、それ以上にウザイ害獣、ムカつく街を歩く生ゴミといった捉え方をされているのも事実だが。 皆さんはペットショップに並ぶゆっくり達がどういう経緯を辿ってそこに居るのか不思議に思った事は無いだろうか? ああ、ちなみにここで例にするのは十個500円とかで投売りされている粗悪品ではなく、きちんとした飼いゆっくりの事だ。 彼女たちは生まれてから今まで、どのような教育を施されたのか気になる人もいるはずだ。 今回紹介するのは、そんな飼いゆっくりの教育法だ。とはいってもあくまで自己流。あんまり人にお勧めは出来ない。 とにかく普段俺がやっているような、飼いゆっくりを輩出できる方法を教えよう。 既にゆっくりを飼っていて、躾が難しいと感じている人にも良いかもしれない。 そうそう、言い忘れていたが『良い飼いゆっくり』を作り出すのにはそれなりの努力と犠牲が必要だ。 つまりペットショップに並ぶゆっくりの影ではそれになれなかったゆっくりが山ほど居るというのをお忘れ無きようお願いしたい。 ぶっちゃけた話、躾けの過程で死ぬゆっくりが大量に出るって言うことだ。 ゆっくりブリーディング さて、まずは躾を施す赤ゆっくりの、その仕入先を明かさねばなるまい。 巷で一般に言われているが、ゆっくりは親の餡子を元に子ゆっくりを成す。 つまり親の餡子=性質、性格、その他諸々を引き継ぐのだ。これをゆっくりの血統、即ち餡統と呼ぶ。 良い子の親からは良い子の赤ゆっくりが生まれ、ゲスからはゲスしか生まれない―――というのが、一般の通説である、らしい。 ブリーダーはそうやってより優良なゆっくりのみを引き継がせていく。 だが、これはあくまでゆっくりの質をより高めようとする場合に限る。 いくら多産なゆっくりとは言え、あまりにもポコスカ産ませると母体の影響もあるし、何より子供も粗雑なものしか生まれない。 優良餡統を引き継がせるゆっくりは、それこそコンクールにでも出すつもりでなければ滅多に作られないのだ。 早い話が、飼いゆっくりはそこら辺の野良の子供でも十分になりえる。 というわけで、俺はもっぱら赤ゆっくりの『仕入先』は近くの山や森を回るようにしている。 原価は0円なので非常に楽である。別に街の野良ゆを捕まえても良いのだが、少々性格が擦れすぎていて子供にも影響が出るのだ。 出来るならば人間の事を良く知らない山や森の奥深くに居るゆっくりがモアベターだ。 彼女たちは野良ゆに比べて、とにかく純真で無垢である。余計な混じりっ気がないぶん、子供も躾けやすい個体が多い。 「ゆゆゆ~♪ゆゆっゆゆ~♪」 基本的にゆっくりは日向ぼっこを好む。特に植物性にんっしんっをしている親ゆは、子供のためにも外に出たがる。 植物に似ている形態故なのだろうか、一部のゆっくりのように光合成をしているのではないかという一説もある。 まぁそんな事はさておき、往々にして森の中を探索するとこうやって外をうろついてるにんっしんっしたゆっくりに出合えるのだ。 「ゆっくりしていってね」 「ゆゆ!!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!おにーさん、まりさたちになんのごよう?」 額に茎をぶら下げたれいむの隣には、その番であろうまりさが暢気に用事を聞いてくる。 この緊張感とか、警戒心の無さが野良ゆとは違う、野生のゆっくりの性質である。 思わず爪先を顔面にぶち込みたくなるが、そこは我慢。これから似たような番たちをまだまだ探し回らなくてはならないのだ。 体力は温存しておくに限る。 「ほい」 ブチッ 「ゆ?」 「ゆゆ?」 無造作に歩み寄り、れいむの茎を掴んで、引き千切る。この間実に2秒の出来事である。 この二匹はもう用済みだ。ぶち殺したい衝動に駆られるが、今日はそんな用事で森まで来たのではない。自重する。 くるっと振り返り、さっさと二匹から離れる。手に持った茎は、背中に背負った籠の中に放り込んでおいた。 「・・・・・・ゆっ、ゆゆ~~~~~~!!?」 「ま、まりざとれいぶのあがぢゃんどこ~~~~!!?」 後ろではようやく気付いたのか、間抜けな絶叫を上げる二匹の声が聞こえてきた。 いちいち子ゆっくりを失った程度で喧しいことだ。ちょっとすりすりすれば生まれるだろこんなもん。 まぁ明日くらいになればケロッと忘れてまた番二匹で盛っているのだ。何も問題は無い。 このような調子で、とにかくゆっくりの番を探し回っていく。 茎が生えていればそれをもぎり、生えていなければすりすりさせた後生えさせてもぎる。 単独で行動するゆっくりは珍しいので無駄足を踏むということ自体が少ない。あっという間に茎が集まっていく。 一組の番から何度も茎を採取しようとすると品質の劣化が起こるので、このような面倒な事をしているのだ。 「ゆああああぁぁ!!?れいむだぢのあがぢゃんがあああぁぁ!!!?」 「まっでね゛ー!?あがぢゃんだぢをもっでがないでねー!?わがらないよぉー!!?」 「やべでえええぇぇぇ!!!ありずだちのかわいいあがぢゃんがあああぁぁぁー!!!」 ・・・・・・・・・。 一つの茎からは少なくとも実ゆっくりが5つ、多ければ20以上も期待できる。今回は豊作だ。 一時間で採取した茎の数は20本、実ゆっくりの数は役300程度といった所か。 この程度の数を揃えなければ飼いゆっくりを出荷するなど土台無理な話だ。体力的にはこれが一番疲れる作業である。 さて、採取してきた茎及びそれに付いた実ゆっくりだが、これを育成しなければならない。 具体的に言えば砂糖水を入れた花瓶に茎を差し、栄養(?)を補給させるのだ。 ・・・・・・しかし、その前にやることが一つある。 実ゆっくりの時点で残留している、親ゆっくりの記憶除去である。 ゆっくりは親の餡子=記憶で作られているために、ある程度の記憶を引き継ぐことがある。 これが先述の餡統なのだが、それは良い意味で使われるとは限らない。 野生のゆっくりから生まれた子はある程度野生の常識を持ったまま生まれてしまうのである。 矯正は簡単だが、それよりかは記憶そのものが無い方が良い。 記憶除去に使う道具はただ一つ、塩水である。 濃度は低く抑え、0,5%から1%の塩水を使う。これ以上濃度が高いとただの虐殺になってしまうからだ。 方法は簡単なもので、砂糖水の変わりに塩水を吸わせる。これだけ。 例えばこの茎の一本は、ほんの少し前から塩水に差している。実ゆっくりはれいむ5、まりさ5だ。 茎の吸引力はそれなりのもので、2~3分もすればすぐに効果が現れてくる。 この茎ももうすぐ2分が経過しようとしている・・・・・・と思った矢先に、根元の子れいむが反応を始めた。 「ゆっきぃ!」 びくんと身体を震わせ、目から口から涎や涙を垂れ流している。 実はこの涙、塩水だ。実ゆっくりと言えどある程度の防御策は身につけているらしい。 そうこうしている内に、徐々に根元から先端まで塩水が行き渡っていく。 「ゆぴぃ!」 「ゆ゛ゆ゛っ」 「ゆっくぢ」 「ぐげぇ」 10匹が10匹、苦悶の表情を浮かべながら必死に身を捩っている。 そんなことをしても体の中を流れる塩水は止まらないけどね。 ゆっくりには刺激物は毒物として反応される。代表的なものは辛味である。 飼い始めたばかりの赤ゆっくりが間違えて唐辛子等を食べた結果、そのまま中身を吐きつくして死ぬというケースが毎年何百件か報告されている。 塩=塩辛いという刺激も、辛味ほどではないが立派に効果を発揮するのだ。 先ず実ゆっくりの体内に入った塩水は、循環し、隅々まで行き渡る。 この時点で先のように実ゆっくり達は泣くなどの防御行為で塩水を排出するが、それだけでは十分な量を排出する事は出来ない。 結果としてこのように、実ゆっくり達は謎の毒物=塩分に苦しめられることになるのだ。 塩分は餡子を蹂躙、その体構造を破壊する役割を持つ。 ここで一番の被害を受けるのが中枢餡――即ち、記憶を司る部位である。 実ゆっくりにしては過剰と言わざるを得ない塩分は、実ゆっくり達の少ない情報を破壊し尽くしていく。 つまり、親から受け継いだ大切な記憶の事だ。 「~~を~~せねばならない」と言った常識は勿論、もっと根幹の記憶等も破壊される。 例えば、当然の如く知っている筈の親の事が分からなくなる。 咀嚼中の「むしゃむしゃしあわせ」等の習性も無くなる(ただし、「ゆっくりしていってね」という挨拶だけは流石に抜けないが)。 それどころか同じ茎に実った他のゆっくり達を姉妹とすら認識できなるなるのだ。 これで何故か運動野とかはまるで無事なものなのだから不思議なものである。 まぁ便利だから活用させてもらっているが。 言ってみれば、ゆっくりの記憶のクリーニング作業だ。受け継がれてきた記憶を完全にリセットし、真っ白な状態にする。 こうなれば親が良餡統だろうと悪餡統だろうと関係ない。彼女たちは俺の命令以外の判断基準を持たなくなるのだ。 余談ではあるが、加工所で販売されている「未刷り込みゆっくり」も、これとほぼ同じ工程で製造されている。 と、根元から4番目に実った実れいむが急に黒ずみ出した。 これは単純に塩水に耐え切れなかった脆弱な個体なだけだ。50匹に一匹程度の確立で、偶にそういうものがいる。 良くある事だ、助けようとは考えない。 それに助けても、そういう個体は往々にして頭が悪く育てる価値が無いような悪辣な個体になる傾向にある。 ある意味これも選定作業なのだ。 他の茎も同じように塩水に差していく。 記憶の除去は大体10分もすれば完全に終わるので・・・・・・ここは念入りに一時間ほど苦しめよう。どうせ死にゃしないしね。 やがて塩水を吸ってビクビクと痙攣し始める実ゆっくり達。 時折発する悲鳴がいい感じにコーラスしている。癒されるなぁ。 たっぷり一時間経った後は、普通の砂糖水に移し変えてやる。 苦悶の表情から一転、すやすやと安らかに眠り始める実ゆっくり達。 虐待の時に見せる表情もいいけど、こういうのも悪くない、と思う。 今回塩水につけた段階で死んだのは、7匹。 先ほどの実れいむに、別の茎の実まりさ3、実れいむ3である。 今育成中の実ゆっくり達は他の種類も結構居るのだが、なぜかこの2種だけしか死ななかった。なぜだろう。 やっぱり生まれる数が多いと割合として良く死ぬのだろうか。 まぁこれから躾の過程にもこの二種には最も多く死んでもらうことになりそうだが。 さて、内約。 7匹数は減ったが、やはりまだ300程度。最終的には50ほどに絞ろうかと考えている。 最も多い種から、れいむ3割、まりさ3割、ありす2割、ぱちゅりー1割、その他(ちぇん、みょん等)が残りの一割か。 一般に希少種と言われているゆっくりは・・・・・・無し。 もし居たら躾にも気合が入っていたのだけどなぁ。残念。 それから三日後。 砂糖水の中に混ぜておいた成長促進及び抑制剤の効果によって実ゆっくり達はすくすくと成長を続けていた。ただし生まれ落ちない。 成長はするけど生まれ落ちる期間を指定出来ると言うのがこの薬品の強みである。 お陰で付きっ切りで見ゆっくりの世話を焼かなくても良いようになった。実にありがたい。 これを開発してくれた加工所研究部勤務の友人に感謝である。 今の内に茎を全て地下の育成部屋へと運び込む。部屋と言っても無茶苦茶広いが。 これから少なくとも亜成体となるまでの期間、実ゆっくり達には基本的にここで生活してもらう事となる。 一応床は芝生を植えつけ、溜め池、植木も完備、空調も自然のものを模しているのでそれほど窮屈には感じないはずだ。 普通のブリーダーはこんな部屋は使わずに独房みたいな部屋に監禁まがいの事をするのだが、そこは俺の趣味だ。 芝生の上に置かれた花瓶、そこに連なる300ものピンポン玉大の赤ゆっくり達。 なかなか壮観と言える。 薬の効果は今日中に切れるように調整しておいた。 つまり今日中に300匹の赤ゆが誕生することになるはずなのだが・・・・・・っと。 言い切らぬうちに、一匹の実ゆがプルプルと震え出した。 誕生の瞬間である。 プチッと微かな音を立てて、地面へと落下していく実まりさ、いや、赤まりさ。 着地の瞬間、ぷにゅりと身体を大きく変形させて衝撃を和らげる。 閉じていた目をゆっくりと開いて、生まれてはじめての産声を響かせるために大きく息を吸う。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」 はい、誕生おめでとう。300匹最初の赤ゆっくりは健康な赤まりさだ。 赤まりさの声が発破となったかのごとく、どんどん震え始める実ゆっくり。 一斉にゆっくりが落ちていく様は、早送りで木の実が落ちる風にどことなく似ている。 「ゆっくち!」 「ゆっくりしちぇいってね!!!」 「ゆぅ~!」 「ゆっきゅぃ、ゆっきゅぃ!」 「ゆっくちちていってね!!!」 「ゆっくりしていっちぇね!!!」 「ゆっくぃ!!ゆっくぃぃ!!!」 「ゆゆぅ~!」 「ゆっきゅちちちぇいっちぇにぇ!!!」 「ごゆるりと・・・・・・」 生まれた拍子に最初の挨拶をし、それを聞いた別固体が反応して挨拶をし返す。 そのような事がどんどん起こり、あっという間に部屋の中は騒がしくなった。 赤ゆっくりが2~3匹程度でゆんゆん言っているのは許容出来るが、流石にこれ程だと少々イラッとくる。 赤ゆっくりを踏み潰さないように、足で赤ゆを優しく退かしながら部屋の中を歩き回る。 そうして一匹一匹赤ゆの状態をチェックするのだ。 健康状態はどうか、欠損している部分は無いか、どのような性格をしているか・・・・・・ あまり厳しくチェックする必要はない。上から見下ろせば、問題があるような奴はむしろ目立つからだ。 そう、例えば今俺の目の前、二メートル前方の床にいる赤ゆっくりの一群。 その中の3匹の赤まりさが、1匹の赤れいむを囲んで突っ突き回している。 他の赤ゆっくりは気付かないのか怖いのか、その三匹を止める事は無いようだ。 突付き回されている赤れいむは涙を零して逃げ回っている。 「ゆっくち!ゆっくち!」 「ゆっゆゆぅ~♪」 「ゆっ!まりちゃはちゅよいんだよ!」 「ゆぴいいいいぃぃぃ!!!ゆうううぅぅぅぅ!!!」 いくら記憶をクリーニングしたところで、そのゆっくりが生来持っている気質は変えようが無い。 他者をゆっくりさせようと言う穏やかな気性を持ったゆっくりも居れば、どこまでも貪欲に己のゆっくりのみを追い求める者も居る。 これは良餡統・悪餡統に関わり無く、完全に不確定な要素でもって生まれてくるのだ。 エリートの子がどうしようもないボンクラだったり、野良の子が意外に良い性格だったりするのもこれが原因である。 「ゆっ?」 「ゆゆっ?」 「ゆっ!おちょらをとんでるみちゃい!」 「ゆぴいぃ!!ゆぴいいいいぃぃぃ・・・・・・・ゆぅ?」 赤まりさ三匹を摘み上げる。悪いがここで赤まりさ達のゆん生は終了だ。 生まれて早々いじめ紛いの事をするゆっくりはこれからどう育っても良い子にはならない。 そのまま赤まりさ達をポケットに入れる。少々騒いでいるが気にしない。こいつらにはまだ役に立ってもらう事がある。 追いかけられていた赤れいむは、不思議そうに周囲をキョロキョロと振り返っていた。 赤まりさ達以外にも、不自然な勢いですりすりを繰り返している赤ありす、他のゆっくりの飾りを奪い取ろうとしていた赤れいむ、 圧し掛かって相手をボロボロにしていた赤みょんなどを拾い上げる。 大体ここでは10匹程度がポケットに入ることになる。残りは290匹だ。 ・・・・・・と、ここで何か不自然な音を耳にした。 パン、パン、と、なにやらかんしゃく玉のような音が聞こえてくるのだ。 音のする方向へ振り向く。 「・・・・・・あれ?」 よくよく目を凝らしてみると、部屋の隅っこになにやら爆発している小さい玉っころが見えた。 それは黒い長髪を元気に揺らし、未成熟な羽を必死にパタつかせ・・・・・・って羽? もしや。俺の見間違いでなければ、このゆっくりは。 「うにゅ!うにゅ!」 うっくりうつほだった。通称ゆくう。 中身がイエローケーキだとか、ヌカ○ーラ・クアンタムとかで構成されていると専らの評判のゆっくり。 内容に相応しくその行動・性質も過激で、個体によっては巨大なキノコ雲を作り出すことも可能とか言われている厨ゆっくりだ。 何でそんな危なっかしいゆっくりがこんな所に・・・? もしかして、実ゆっくりのチェックをするときに見過ごしたのだろうか。 確かにれいむ種と似た黒い髪だし、リボンの色とか殆ど見ていなかったような気がする。 羽も丁度隠れるような角度で見ていたのかもしれない。 しまった。うっかりしていた。 茎を集めていた時はそれほど珍しいゆっくりには出会わなかった筈。 おそらくはチェンジリングの類だろう。 数万分の一以下の確立で、親のゆっくりとは異なった種のゆっくりが生まれることがある。 ゆっくりに存在するのかは分からないが、遺伝子の影響やらが関係しているらしい。隔世遺伝というやつか。 それにしても珍しい。ただのチェンジリングでさえ相当希少なのに、それもゆくうのチェンジリングだ。 俺自身はあまり信じていないが、チェンジリングの子は幸運を齎してくれるとか――こいつを育てる価値は、十分にある。 「おい」 「うにゅ?」 呼びかける。振り向くゆくう。 まだ充分に羽を使って飛べないらしく、ぴょーんぴょーんと緩慢かつふわふわした跳ね方でこちらにやってくる。 生まれたばかりだと言うのにやたらめったら元気な奴だ。ゆくうと視線を合わせるためにしゃがみ込む。 手を差し伸べて、ゆくうが手の平に乗っかれるようにしてやる。 普通の赤ゆっくりなら、こういう動作をされれば一も二も無く喜んで飛び乗ってくる筈――― 「うにゅーーーーっ!!!」 ぽこん。 ―――ゆくうは俺の手の平に体当たりを仕掛けてきた。 全く以って痛くないが、その感触がある事を思い出させてくれた。 ああ。コイツ、普通の赤ゆっくりじゃないんだっけ。 ゆくう種は体力面では通常のゆっくりを大きく上回るが、おつむの方はそれほどよろしくない。 それどころか、かなりの⑨なのだ。それこそちるの種級である。 コイツはきっちり躾をしなくてはならないな。少なくとも物忘れが激しい分、じっくりと教え込んでいかねばなるまい。 そう決意して、ゆくうの前で人差し指と親指を使って円を作る。 「うにゅ?・・・・・・ふーj」 べちんっ 「う゛に゛ゅっ!!?」 何やら言いかけたゆくうの顔面に、デコピンがヒットする。 顔面を陥没させて転げまわるゆくう。ふむ、結構丈夫だな。赤ゆの割には強めに打ったんだが。 今の状態のゆくうは三歩歩けば何もかもを忘れそうなので問題ない。痛みに転げまわっている間に離れるとしよう。 一通り部屋の中を歩き回ったが、それほど問題のある奴は見つけられなかった。 問題のある10匹の赤ゆっくりは俺のポケットの中でいつの間にか眠っている。 よし、準備完了。そろそろ始めるか。 部屋の中央に移動し、赤ゆっくり達の注目を集められるようにしてから、少し息を吸って・・・・・・。 「ゆっくりしていってね!!!」 特大の音量で挨拶する。 赤ゆっくりの声量など目じゃない大音声は、この部屋の中に居る全ての赤ゆっくりに聞こえたはずだ。 すると即座に俺の方に向き直る赤ゆっくり達。 先程まで好き好きに行動していたのに、一斉にピタリと動きを止めてこちらに挨拶を返そうとしているのだ。 常々思うが、「ゆっくりしていってね」の効力は凄まじい。 「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」」 赤ゆっくり達の大斉唱が響き渡る。 元気があって大変よろしい。 赤ゆっくり達は何やら期待の眼差しでこちらを見つめてきている。 これから何かが始まると予感しているのだろうか。 「よし、お前ら。俺の言葉が分かるか?分かる奴はその場で跳ねろ」 「「「「「「「「「「ゆーっ!!」」」」」」」」」」 言う通りにピョンピョン跳ね始める赤ゆっくり達。 大体全ての個体が俺の言葉を理解できているようだ。 偶にではあるが、塩水の影響で言語機能に異常を持つものも居る。 そういう個体もまた不適格として処分する。 ゆっくりの特長はヒトの会話を理解できる所にあるのだから、それが出来ない不良品は要らない。 「全員理解してるな。俺の事は『先生』と呼べ。これからお前達を育て、教育する者だ」 お父さんや、お母さんではなく、先生。 両親の記憶が無い赤ゆっくり達に迂闊に親を連想させるような言葉は使わない。 親だと思い込まれると、甘ったれる者が出てくるためだ。 「ゆっ・・・しぇんしぇい?」 「ちぇんちぇい!ちぇんちぇい!」 「しぇんしぇい!ゆっくりしちぇいっちぇね!!!」 「ゆぅ~っ!ちぇんちぇい!!!」 「そうだ、先生だ。『しゃんしぇい』では無く『ちぇんちぇい』でも無いがそれはゆっくり直していけば良い」 本来なら親に向けるであろう全幅の信頼を置いた目で俺を見てくる赤ゆっくり達。 普通の赤ゆっくりではこうはいかない。例え一度も見たことが無くとも赤ゆっくりは親ゆっくりを知っていて、求めてくるのだ。 だがこの赤ゆっくり達はその記憶が無い。よってこのような刷り込みめいた事ができる。 これも塩水による記憶クリーニングの効果の一つだ。 とりあえず赤ゆっくりに懐かれる事には成功した。 だがそれだけではゆっくりの躾けに何の意味も無い。 ゆっくりを手懐けるコツは愛情だけではなく、恐怖で縛り上げることも必要なのだ。 所謂、飴と鞭。今は飴を与えた。 次は鞭の番だ。 「ゆぴぃ~~~・・・・・・」 「ゆぅ~ん・・・・・・」 「ゆぅ・・・・・・ゆぅ・・・・・・」 ポケットの中で暢気に寝ていた問題児達を取り出す。 足元の赤ゆっくり達は「ゆぅー!!」とか「れいみゅもたきゃいたきゃいしちゃいー!」とか羨ましがっている。 今までこいつらを生かしておいたのはこの時のためだ。 「よし、聞け。お前たちはこれから俺の言う事を良く聞いて、良い子になる勉強をするんだ」 空いた片方の手で問題児の中の一匹・・・・・・赤まりさの頬を摘みあげる。 少々痛かったのか、赤まりさは「ゆっ!?」と声を上げて目を覚ました。 足元の赤ゆっくり達は素直に「ゆっきゅりりかいしちゃよ!!」等と言っている。 「良い子になれば、自分も他の人もゆっくり出来る。俺の言う事を良く聞けば、必ず良い子になれる」 己の体重を頬だけで吊り支えると言うのは相当辛いのだろう。 赤まりさは「いぢゃいいいいいぃぃ!!!」と涙を流しながら暴れている。 暴れたりなんかしたらもっと痛くなるぞ、と思うが特に口には出さない。 この赤まりさがどれほど痛みに咽び泣こうとも、どうでも良いからだ 赤ゆっくり達は赤まりさには気付かずに俺の言葉を聞いている。 「逆を言えば、俺の言う事を聞けないゆっくりと言うのは悪い子だ。悪い子は誰もがゆっくり出来なくなる」 プラプラと赤まりさを振り回しながら赤ゆっくりに言い含めていく。 遠心力によって更に皮が引き伸ばされ、「ぎょえ゛え゛ぇ゛ぇ゛!!」と赤まりさは凄まじい形相を浮かべながら絶叫している。 ここでようやく赤ゆっくり達は赤まりさの声を聞き取った。 赤まりさの声を聞いた赤ゆっくり達の表情は疑念・不安といった所だ。 何故赤まりさがゆっくり出来なくなっているのかが分からないのだろう。 「悪い子は要らない。こいつは弱いもの苛めをした悪い子だ」 赤ゆっくり達に赤まりさを見せ付ける。 そのゆっくり出来ない苦悶の表情に赤ゆっくり達は揃ってショックを受けたようだった。 「ゆゆ・・・」だの「ゆっくちぃ・・・」だのプルプル震えて涙を堪えている。 「良く見ておけ。ゆっくり出来ない悪い子は・・・・・・こうなる」 人差し指と親指を離す。 それだけで赤まりさは俺の拘束から逃れ、重力に身を任せて落下していった。 赤ゆっくり達が息を呑む。 少なくとも一メートル以上の高みから落とされる衝撃は、赤ゆっくりにとって一体どんなものなのだろうか。 「ぎゅえ゛っ!!!」 顔面から激突した。起き上がる気配が無い。 地面には芝生が植えられているのである程度の衝撃は緩和されたが、それでも相当の痛みの筈だ。 良く見れば後頭部がピクピクと痙攣している。 赤ゆっくり達は不安そうに赤まりさを眺めている。 そうして赤まりさを助け起こそうと数匹の赤ゆっくりが動き出したところで・・・俺も赤まりさを踏み潰した。 「ぢゅぶっ」 ぶちゅり。足裏に泥を踏んだ時のような形容しがたい感覚が広がる。 それを赤ゆっくり達は、一瞬も漏らさず全て見届けてしまった。 赤ゆっくり達の視点からだと赤まりさが潰れる姿も見てしまったのではないだろうか。 部屋がシンと静まり返る。赤ゆっくり達は硬直したように動かない。 そんな赤ゆっくり達に向けて、残りの問題児達を持っている手を差し出した。 「お前達、よく餡子に刻み付けとけ。言う事を聞かない悪い子は、死ぬ」 「ぎゅ゛っ゛」 「ぐげっ」 ぶちゅり。そのまま手を握って一気に潰し殺した。 指の間から黒かったり白かったりする中身が漏れ出てくる。 そしてその音と俺の手に付いた餡子を見た赤ゆっくり達は、揃って悲鳴を上げた。 「「「「「「「「「「ゆぎゃあああああああああああああああああああ!!!!」」」」」」」」」」 続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3038.html
※これはドキュメント番組のような感じです ※人間は殆ど関わりません ※描写薄いです ゆっくりプライド ゆっくりは生活環境によりその住む形態も大きく違うと言う。 一般的に広く知られているのは家庭を作り、子を育てながら冬を越すというものである。 他にも蜂のように働く階級が決められており、それに沿った行動をするという群もあるという。 そこで、他の地域のゆっくりを見てみることとする。 「ゆゆ、もうすぐあかちゃんうまれるよ!」 ここにいるのはすっかり大人になりにんっしんっしたれいむ。 子供が出来たため、群から離れたと見える。 その体は下に大きく膨らんでおり、いまにも子供がでてきそうである。 「あがぢゃん!ゆっぐりうばれでぎでね!!!」 大体にんっしんっしてから10日から20日位だろう、そろそろ子供が生まれるようだ。 すぽ、すぽん、すっぽーん 「「「ゆっきゅりちていってにぇ!」」」 体の下のほうがみちみちと開き、3匹の子供が生まれた。 生まれたのはれいむが2匹とまりさが1匹。 舌っ足らずだが元気よく挨拶をしている。 「ゆっくりしていってね!」 生まれた子供に優しく挨拶をするれいむ。 ここまでは良く見る光景である。 「それじゃおかーさんはごはんをとりにいってくるからゆっくりここでまっててね!」 「「「ゆっくちわかったよ!」」」 子供が生まれてすぐだと言うのに、このれいむは狩りをするというのである。 それもそのはず、周囲は多くの小形動物が多くおり、またゆっくりの天敵と言う天敵もないのだから。 そのため安心して食事を集められ、それをすぐに消費しても問題ないのだ。 「ゆっゆっゆ〜ゆっくち〜」 「ゆっくしちようね!」 「ゆっきゅりだにぇ!」 のんびりと過ごす子供達。 親が食事をくれて、夜は皆でぐっすり寝て。 子供達は思い思いにゆっくりしたり、じゃれあいながらすくすく育ち、親と同じ位の速さで移動できるようになった。 「それじゃ、そろそろゆっくりむれへもどるよ!」 「むれ?」 「みんなのおとーさんやおともだちがいっぱいいるところだよ!」 「おとーさん!あってみたい!」 「それじゃみんなでいこうね!」 「ゆっくりいくよ!」 こうしてこの親子は自分達の群に戻る。 「ゆっくりいくよ!」とか言いつつも全力疾走で戻っていくのだ。 子供が置いてきぼりになるかと思ったが、この親子は頑張って1匹も欠ける事無く群へと戻ったようだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 お決まりの挨拶をする親子。 「まりさがむれのりーだーだよ!まりさはむれでいちばんつよいんだよ!」 「ごはんはみんながあつめておとうさんのところにもってくるんだよ!」 ここでは雄役のゆっくり1匹に対し多くの雌役ゆっくりが囲うという生活体系がある。 言い換えるならハーレムとでも言おうか。 このまりさが群の中に居る他のゆっくりをにんっしんっさせていると言う訳だ。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「「「ゆっくりしていってね!れいむたちのおとーさんもまりさなんだよ!!!」」」 この群にはとても沢山のゆっくりが集まっていた。 しかしそれでも取れる餌が多く、また他のゆっくりがすっきりしないためにそこまで爆発的な繁殖はしないようだ。 「ゆっくりしていってね!」 と、ここに来客のようだ。 やってきたのはありす種。 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 群のゆっくりがそれぞれ挨拶をする。 「ありすはこのむれのまりさとしょうぶしにきたのよ!」 「このまりさにいどむの?おお、むぼうむぼう」 ゆっくり同士の勝負が始まった。 とはいえその戦い方はいたってシンプル。 「ゆっくりたおれてね!ゆべっ」 「ゆっくりまけないよ!ゆびっ」 体当たりをお互い繰り返し、先に力尽きた方が負けである。 べちべちと体当たりの音が当たりに響き渡る。 周囲のゆっくり達は勝負の行方をただただ見守るばかり。 「これでとどめね!」 「ゆゆ…ゆっくりこうさんするよ……」 数十分にも及ぶ体当たり勝負の行方はありすの勝利で幕を閉じた。 「これでこのむれはありすのものね!!まけたよわいまりさはゆっくりしないでこのむれからでていってね!」 「ゆっくりわかったよ……」 群のトップは戦いを挑まれたら受けねばならず、それに負けたほうは群れを諦めなければならない。 元群のトップはすごすごと群から退散していった。 「さて、それじゃはじめないとね」 不敵な笑みを浮かべるありす。 1匹1匹の元へ挨拶をしている。 「きょうからありすがここのりーだーだからね!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ありすの声に、群に戻ったばかりの子れいむが答える。 「あなたはあのまりさのこどもね」 「そーだよ!」 「げんきなおへんじありがと!ゆっくりつぶれてね!」 「ゆ?」 ありすが勢いよく跳躍する。 ぐちゃ。 子れいむはありすの下敷きになり、その短い生を終えた。 「ありすのこどもじゃないこはゆっくりでてきてね!」 この群では、群のリーダー以外の子供のゆっくりは全て潰されるのだ。 今回のようにリーダーが変わった場合は、子ゆっくり全てが殺されるという大虐殺が行われる。 「ゆわぁぁぁぁん!おがぁざぁぁぁぁぁん!!!!」 「どぼじでばりざをづぶずのぉぉぉぉ」 「ゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃ」 次々と潰され、その度にありすに暴言を吐く子ゆっくり達。 「まりさがたおされたからしかたないよ、ゆっくりりかいしてね…」 「ちびちゃんのぶんまでゆっくりするからね…」 一方で悲しそうな目を向ける母親ゆっくり。 群の法則故致し方ないのだ。 そしてこのアリスは全ての子ゆっくりを完膚なきまで潰した後に、他のゆっくりに種付けを行う事になる。 そうする事で群を維持していく事になるのだからだ。 「ゆゆぅ…」 戦いに敗れたまりさは他の群を探す為に一人寂しく放浪する事になる。 元々雌役が狩りを行うこの場所において、雄役が生き残るには一刻も早く群を見つけてリーダーになるしかないのだ。 雄役は強くてなんぼなのだ、狩りが出来る出来ないはここでは関係ない。 そしてあまり虫を食べる事無く、お腹を空かせたまま遠くまで来てしまったようである。 「おなかへったよ…」 疲労困憊の上空腹となったまりさ。 「ゆぅ…あそこにおいしそうなものがはえてるよ…」 ふらふらと目に見える美味しそうなものに向かっている。 そこには何やら立て札があり、規則正しく作物ができていた。 そう、このまりさは人間の住処までやってきたのだ。 そして本能の赴くまま野菜に噛り付く。 「うめっ!めっちゃうめっ!」 その美味しさに一気に活力がみなぎってくるのをまりさは感じているのだろう。 一心不乱に野菜を貪っている。 元気になったらどこかの群を奪ってここを群の根城にしよう、なんて考えさえこのまりさには沸いてきているのかもしれない。 と― 「やれやれ…」 この畑の持ち主である男が現れる。 ゆっくりは普段はこの辺りまで来る事はないものの、時折こういったことがあるらしい。 男はまりさを摘み上げる。 「ゆ!しょくじをじゃましないでね!ゆっくりごはんをたべてるんだよ!」 「…これだから『害獣の王』とか呼ばれるんだよなぁ」 自らの要求を通そうとするまりさを、男は地面に思いっきり叩きつける。 べちゃ、という音と元々持っていたであろう訳の分からないプライドと共にまりさは物言わぬ塊と化した。 この地域ではゆっくりに『害獣の王』という不名誉な二つ名があるようだ。 場所や環境により、ゆっくりの生活方法は様々のようだ。 違う環境のゆっくりを取り替えて群に放り込んで見るのも面白いかもしれない。 生活に馴染むのか、それとも争いが起こりのけものにされるのか、はたまた群の仕組みを変えるだけの事が起こってしまうのか… 何にせよ、これだけいじるのに向いた存在もそうそう居ないだろう。 ※この番組では、様々な生活体系をもったゆっくりの情報を募集しております。 採用された方には― 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「だってよ」 「ふーん」 TVを見ながら会話をする2人の男性は酒のつまみに子ゆっくりを口に入れていた。 「全く持って不可思議な奴らだ」 「ま、話のタネ位にはなるかもな」 男達は今日も仕事帰りの疲れをゆっくりと癒すのだった。 あとがき 名前を今まで決めてませんでしたが、ムラッけ木槌と名乗る事にします。 ここでいうプライドはライオンの群(プライド)の見立てとまりさのズタズタに引き裂かれたプライドの事です。 周辺に天敵が居ないっていう設定はよく見ますがそこをライオンのそれに置き換えてみて… そしたらゆっくりできない逃れの同属殺しがあったものです。 ライオンに関わらず同属殺しの麗は多いですしね、ハムスターとか。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり ゆっくりを育てたら。 ありす育ての名まりさ 長生きドスの群 メガゆっくり ゆっくり畑 益ゆっくりと害ゆっくり ゲスの行き着く先 つかれたまりさ 噂・ゲスの宿命 ゆっくりすること 決断 くっつくよ!!! ゆっくり勝負
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2754.html
過去に書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 775 ゆっくりと黒豆 ふたば系ゆっくりいじめ 911 ゆっくりとお預かり ふたば系ゆっくりいじめ 930 ゆっくりとバレンタイン ふたば系ゆっくりいじめ 1031 ゆっくりと津波 ふたば系ゆっくりいじめ 1132 ゆっくりと毛皮のフード 作:しがないあき 『ゆっくりと寒の戻り』 私はしがない虐待お兄さん。 現在は冬物のコートをクローゼットから引っ張り出し、愛犬・ミニチュアダックスのポチと夜の散歩中である。 ここ数日は寒の戻りだと天気予報が言っていた通り、四月だというのに寒い日が続いている。 だが、寒いからといって散歩はお休みにはならない。 犬は喜び庭駆け回りとは雪の事だが、この程度の寒さでもやはりポチは元気一杯なのである。 「ゆゆっ! じじい、れいむはしんぐる(ry」 ……ゲスが沸く事に定評がある近所の公園付近を散歩コースから外すべきか本気で迷う。 何せ、最近は今のように野良のゆっくりから絡まれる事が少なくないのである。 私一人なら即ヒャッハータイムに突入なのだが、如何せん私の隣には尻尾を振ってれいむを歓迎モードのポチがいる。 お陰で私は攻撃出来ないのだが……むしろ最近は、ポチを連れている時を狙ってきているのではないかとすら思う始末である。 「じじい、むししないでね! れいむはしんぐる(ry あまあまを(ry」 それにしても、相も変わらず脳内お花畑な饅頭である。 ここ数日は冬に逆戻りしたみたいな気候だというのに、頭の中が春真っ盛りとは羨ましい事この上ない。 「……テンプレ台詞はもう聞き飽きたぞ。ていうか寒いのによくそんなに動けるな、お前」 「ゆっ? なにいってるの? いまははるさんなんだよ? ふゆさんはもうおわったんだよ? じじいはばかなの? しぬの?」 今の台詞もそうだが、こいつの声のトーンからさり気ない嘲笑を含めた表情まで、もう全てがムカついて仕方がない。 ポチがいなければ即刻ミンチにしてやりたいくらいである。 ……それはともかく、こいつはまさか寒さを感じていないのだろうか? 「はるさんはとてもゆっくりしているんだよ! ぽかぽかしてあったかくてしあわせーなんだよ!」 「いや、確かに今は春だが、ここ数日は普通に寒いだろ。天気予報でも気温が五℃とか言っていたし……」 「ゆゆっ? ……いわれてみれば、なんだかさむくなってきたよ……」 ……まさかこいつ、春が来たと思い込んでいる為にここ数日の寒さに気付いてなかったのだろうか? 「……ゆわわわわ! さっさささ……さぶいいいいいいいいいいい!」 「こいつ、本当に寒さに気付いてなかったのか……」 恐らくは、ゆっくり特有の"思い込み"の作用だろう。 ゆっくりは人間に比べても凄まじく思い込みが激しく、それがモロに自身に影響するものである。 ご飯を十分に食べていても餓えを感じれば途端に餓死するし、逆に明らかに致命傷を負っていてもそれに気付かず生きている事もある。 まあ、要するにいい加減な生物なのである。 だから、即凍死するような氷点下という訳でもない現在の寒さ程度なら、素で気付いてなくても不思議ではないのだろう。 何せこいつは今の今まで、"もう春が来ているのだから寒い筈がない"と思い込んでいたのだから。 「どっどぼじで!? れいむはさくらさんをむーしゃむーしゃしたよ!? たんぽぽさんだってむーしゃむーしゃしたんだよ!?」 「春は来てるけど寒さが戻ったって事だろ……冬が戻ってきたと言うべきか? まあ、今まで気付かなかったのがすごいな」 「さ、さむいよぉ……どうしてふゆさんかえってきたの……? れいむ、もうおうちかえる……」 ガチガチと歯を鳴らし、れいむは近所の公園の中へ撤収していく。 いつもながらの饅頭のアホさを楽しんだ私は、ポチを連れて帰路に着いた。 ※ ※ ※ 亡きまりさの忘れ形見である子れいむと子まりさのご飯を探しに出たれいむは、結局何も手に入れる事なく公園の住処へと帰ってきた。 しかも、まるで真冬のようにガタガタと体を震わせながらである。 「ゆ、ゆっくりただいま……」 「「ゆっくりおかえりなさい、おかあさん!」」 「お、おちびちゃん……きょうはごはんはないけど、おかあさんとすーりすーりしようね……」 ダンボールを横倒しにしただけの簡素極まりない自宅に入り、両脇に子れいむと子まりさを侍らせるれいむ。 「すーり、すーり……おかあさん、あったかいね!」 「すーり、すーり……ゆゆーん! ごはんがなくても、まりさとってもしあわせーだよ!」 二匹の子ゆっくりは、最愛の母とのスキンシップに幸せ全開である。 ……が、二匹の真ん中に陣取るれいむの方はというと―― 「お、おちびちゃん! もっとおかあさんにくっついてね! もっとすーりすーりしてね!」 「「ゆっ……ゆゆっ?」」 と、更なるすりすりを要求する始末。 「お、おかあさんどうしたの?」 「おかあさん、なにかゆっくりできないの?」 明らかに通常に比べて過剰な……まるで、真冬の一番寒い頃のようなその要求は、二匹の子ゆっくりを困惑させ始めていた。 二匹がスキンシップの為でなく、むしろ摩擦熱を生じさせんが為にすりすりを繰り返し始める中で、歯をカチカチと鳴らすれいむ。 なにか、ゆっくりできない――その思いは、確実に伝染していく。 「すーり、すーり……さっささままままままま……」 「すーり、すーり! おかあさん、そんなにふるえてだいじょうぶ!?」 「すーり、すーり! おかあさん、ゆっくりしてね!?」 目を見開き、歯茎を剥き出しにして強張るれいむの両脇で、二匹の子ゆっくりの懸命のすりすりは続いていた。 だが、家がフタもしていないダンボール箱では、隙間風どころか冷たい風がもろに直撃する。 たかが子ゆっくりのすりすり程度でれいむの体温が上昇する筈も無く、むしろ益々下がっていくばかりなのである。 「さ、さむいよぉ……」 「おかあさん、ゆっくりしてね!? いまはもうはるさんだよ! さむいさむいふゆさんはもうおわったんだよ!?」 「おかあさん、きのういっしょにさくらさんをむーしゃむーしゃしたよね! ゆっくりしてね!?」 「お、おちびちゃん……いまはね、またさむくなってるんだよ……ふゆさんがかえってきちゃったんだよ……」 「「……ゆ?」」 れいむの告げた衝撃の一言に、ただでさえ絶望的に動作不良の餡子脳が完全に停止する子れいむと子まりさ。 だが、目の前のれいむの震え方は……今にして思えば、寒がっているのか……は、やがて今の一言と結ばれていく。 「……そういえば、なんだかれいむもさむいきがしてきたよ……」 「ま、まりさも……さむいよ……」 冬型の気圧配置に逆戻りしてから二日目を迎え、ようやくれいむ一家は世間の反応に追い付いた。 ……勿論、それは破滅の始まりを意味するのであるが。 ヒュオオオオオ…… 「さっさっさっさまままままままままあ!?」 「さむいよおおおおおおおおおおおおお!?」 「さむいいいいいいいいいいいいいいい!?」 今までに無い強く冷たい風が公園を吹き付け、ダンボールの家の中で飛び上がるれいむと子ゆっくり二匹。 "春だから寒くない"という思い込み……言わば彼らの最初で最後の盾が粉砕した今、もはやこの場は地獄と化した。 「お、おちびちゃん! すりすりしてね! おかあさんをすりすりしてね!」 「おかあさん、まりさ! れいむのよこですりすりしてね! れいむさむくてしにそうだよ!」 「まりさをすりすりしてね!? まりささむいのいやだよ!」 狭苦しいダンボールの中で彼らが取った行動は、傍から見れば押し競饅頭。 ……よく見てみれば、三匹の真ん中を陣取り、風除け確保&両脇ですりすりさせての体温確保を狙って押し合っているだけなのだが。 「おちびちゃん、おかあさんはさむいさむいでつらいんだよ! ゆっくりりかいしてすりすりしてね!」 「なにいってるの!? れいむはさむいんだよ! かわいそうなんだよ! だかられいむをすりすりしてね!」 「まりさはさむくておなかまですいてるよ! おかあさんはごはんをもってきてね! れいむはまりさをいっぱいすりすりしてね!」 「ゆゆっごはん! おかあさん、れいむにきょうのごはんをはやくもってきてね! たくさんでいいよ!」 「こんなにさむいのにごはんなんてさがせるわけないでしょおおおおおおおお!? ゆっくりりかいしてねええええええ!?」 「「ごはんもさがせないなんておかあさんはげすだね! こどもがかわいくないの!?」」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおお!?」 ヒュオオオオオ…… 「「「さっさっさっ……さむいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」」」 互いに温めあう事すら忘れて罵り合う親子には、なおも冷たい風が吹き付ける。 風は喧嘩を一時仲裁し、そしてその直後に再び争いを生み出すのだが……幸いな事に、この風はこの晩、休む事無く吹き荒ぶ事になる。 ※ ※ ※ 私はしがない虐待お兄さん。 先日の寒い一日から一夜明け、早速今朝もポチとの散歩中である。 出勤前のこの散歩にもすっかり慣れた物だ。朝早くに散歩とは少々年寄り臭い気もするが、今や私の生活の一部になっている。 ――おっと、近所の公園の入口に行き倒れゆっくりを発見。 ポチが近寄らないようにリードを短く持ってゆっくりに近付いていく……成体のれいむと、子ゆっくりのれいむとまりさのようだ。 三匹とも見るからに色が白くなっている……間違っても美白ではなく、顔面蒼白という意味で。 恐らくはここ数日の寒さにやられ、公園から逃げ出そうとして力尽きたと言った所か。 「……たす、け……」 おお、成体のれいむはまだ息があるらしい。とは言っても虫の息だが。 「……きのうの、じじい……さむいよ……」 ……何だ、こいつはどうやら昨夜の散歩で出会ったれいむらしい。 この分だとあの後、たっぷりと寒の戻りを満喫出来たようだ。 「じ、じい……れいむのさむさをなんとかしてね……あまあまもだよ……そこのげすにはなにもあげなくていいから……」 ……昨日れいむはシングルマザーだよ(キリッっとか言っていたのを見るに、横の子ゆっくり二匹はこいつの子供なのだろう。 母性溢れるれいむ種らしいほのぼのとしたお願いである。 ここはれいむの目の前で子ゆっくりをたっぷり厚遇してやるのが適切なのだが…… 「まあ、お前の子供には何もやらんよ。そいつらもう死んでるし……」 「ゆ? ……ゆへへ……げすはしんだんだね……れいむをゆっくりさせなかったけっかがこれだよ……」 うーむ、台詞を聞くだけで昨晩の一家の奮闘ぶりが目に浮かぶようである。 それによく見ると三匹とも体のあちこちに傷がある。 わざわざリスクの高い寒い時に親子で血みどろの喧嘩をするとは、さすがはゆっくりだ。 「……じじい……あまあまを……れいむ、さむいよ……」 それにしても余程寒いのだろうか? 何でまだ生きているのか不思議な位に色が白い。 饅頭である事を考えれば皮膚の色として適切な気もするが、それでも欠片も食欲が沸かないのが不思議である。 「……フーッ」 「ゆっぴぉおおおおおおおおお!?」 れいむの前に屈み込んで、口から思いっきり息を吹きかけてみたのだが……凄い悲鳴である。 ポチが怖がらないかと慌てて振り返ったが、ポチは頭上のモンシロチョウを尻尾を振って見つめていたのでセーフだった。 しかし、寒がっているので嫌がらせのつもりで息を吹きかけてやったのに、下手な虐待より凄い悲鳴を聞けるとは予想外である。 「さ、さむさむさむさむさむ……」 「フーッ!」 「ゆっぴっぷっ!?」 もう一度、さっきより強く息を吹きかけてやると、今までに聞いた事がないような悲鳴を上げて硬直するれいむ。 ……そのまま全然動かなくなってしまった……まさかとは思うが……やはり、死んでいた。 氷漬けにされたような白さ、顔のあらゆる場所を刻み込んだ深い皺、見開かれた両の眼……れいむの最期は、あまりに壮絶な物だった。 単に冬場に凍死したゆっくりに比べても、実に無残なその姿。 春を謳歌している最中に真冬同然の寒さに晒されたという落差の結果なのか……これは、今後の虐待で試してみたいと思う。 何にせよ、息を吹きかけただけでゆっくりが死んだというのは、虐待お兄さんとして箔が付くのではないだろうか。 私がれいむ親子に別れを告げた時、ポチもまた、頭上のモンシロチョウとお別れの時間を迎えていた。 ヒラヒラと去っていく蝶を少し寂しそうに見ているが、私が歩くのを再開すれば、途端に走って横をぴたりと行進する。 ポチの姿を見ていると、今日もまた、夜の散歩まで一生懸命働こうと思えるものだ。 それにしても、ゆっくりの思い込みがこれ程の面白い事態を引き起こすとは……私は内心声を出して笑いたいのだが、必死に堪えていた。 子ゆっくりがいつ死んだのかは定かではないが、少なくとも今この場で死んだれいむはもうアホとしか言いようがないのである。 ゆっくりの"春なのに寒くなった"という思い込みの酷さは……本当に笑うしかない。 ちなみに、現在の気温は十五度。凍死するには程遠い、実に穏やかな晴れの天気だった。 【完】 このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! ◆SS感想掲示板 10作品未満作者用感想スレへ ※書き込む時はSSのタイトルを書いて下さい。 コレをコピーしてから飛びましょう→『ふたば系ゆっくりいじめ 1319 ゆっくりと寒の戻り』 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3541.html
何度でも蘇るさ! ※厨性能ゆっくり注意 私はゆっくりを不老不死にする薬を作り上げたぞ! この薬をゆっくりにかけるだけであら不思議、どんなに切り刻もうとも元の姿に戻るのだ。 具体的に言うとかけた時の姿を記憶してその状態に強制的に戻す薬だ。 要するに、もしかけた時に足が焼かれていたらもう二度と足は再生しない。 永遠にその姿を維持し続けるのだ。 実は最初はこんな薬を作るつもりはなかった。偶然にもできてしまっただけだ。 本当はゆっくりの欠損した部分を再生させるための薬を作っていたのだが どんなに実験を繰り返しても失敗作しかできなかった。 あるゆっくりは二目と見れぬ醜い姿に、あるゆっくりは再生する苦痛に精神が崩壊した。 しかしこの薬があれば、もしゆっくりが死ぬようなことが起こっても再生する。 これで飼いゆっくりが不慮の事故で死ぬこともなくなる。 この薬をすぐにでも世に出したいところだが危険があってはいけない。 まずは実験して安全が保障できるものであることを立証しなければ。 早速実験を開始しよう。 ここに一匹のまりさを用意した。ちなみにゆっくりは近所の人たちから買い取っている。 畑荒らしをしたゆっくりもいれば、森でゆっくりしていたゆっくりもいるだろう。 実験体に違いはないのであまり気にはしない。 「ゆっくりしていってね!」 元気があってよろしい。それでは薬をかけてみよう。 「ゆっ!ゆっくりできないよやめてね!」 この状態だと変化が見られない。まず包丁で切ることからはじめる。 まりさのちょうど顔の真ん中に突き刺す。 「ぎゅぎいいいぃぃぃぃ!?」 包丁を抜くとすぐさま傷が塞がり、もう跡も残っていない。 「ゆぐぐぐゆゆっ!いたかったけどもういたくなくなったよ! さすがまりさだね!ゆっへん!」 次は滅多切りしてみよう。まりさの顔を縦に、横に、斜めに、 とにかく出鱈目に切り裂いていく。目も口も関係ない、全て切り刻む。 「ゆげっいじゃいっだべでっぐあぎゃっれびゅっ」 切ったそばからすぐに再生していく。顔も判別がつかなくなるほど切りつけたはずなのに 何事もなかったかのようだ。 「ゆぐっぼうやべで!どうぢでごんなごどずるどっ!」 次は釘を五本取り出す。それを帽子と頭を縫い付けるようにして差し込む。 「ゆががががががががが」 全部埋め込んだはずの釘が徐々に出てくるのはなんというかとてもシュールだ。 釘が抜けて落ちる。傷口ももちろんなく、帽子も再生している。生まれた瞬間から 備わっているものだから再生も可能なのか。 「ぼうおうぢがえるっ!」 逃げようとするがまわりに落ちている釘を踏んで泣き叫んでいる。悲しきかな餡子脳。 まりさを持ち上げて、次は衝撃を加えてみよう。 「おじさんたすけてくれてありがとう!おそらをとんでるみた~い♪」 泣き顔から笑い顔に変わり、先ほどまでひどい目に合わせていた私に礼を言ってくる。 どこまでアホなのか、今度は少しでも知能の上がる薬でも作ってみようかな。 そんなことを考えながら今度はへらへら笑い出したまりさを床に思いっきり叩きつける。 「ゆぶっ…………!!」 グシャッと床に散らばる餡子や皮、これでもまだ再生できるのだからこの薬はすごい。 まるで某液体金属よろしく、グネグネとあたりに散らばったものが集まりだし、 元通りになった。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆっくりしていってね!」 なんかグロテスクな状態からいつも通りの能天気な顔されると不思議な感じだな。 それでは次に用意するものは、と 「まりさになにをしてもむだだよ!ゆっくりこうさんしてね!」 得意げな顔をしてこちらを挑発しているがそんな体にしたのは私なのだから少しも腹が立たない。 むしろその意気で実験の協力をしてもらおう。 そして取り出したものはありす。 「ゆっくりしていってもいいのよ!」 このありす、売り払いにきた人の家をとかいはにこーでぃねーとしたとのこと。 その人が帰宅して自分のるーむめーとにしてやるとか戯けたことを言ったらしい。 全く、ゆっくりはどうして人を恐れないのだろうか。 とかいはこーでぃねーととか価値観の押し付けを迷惑とは考えないところも ゆっくりらしいといえばゆっくりらしいのだが。 「ありす、ゆっくりしていってね!」 「べ、べつにまりさとゆっくりしたいわけじゃないんだからね!」 今のはツンデレではなく、ただの天邪鬼です。 それではありすを両手で掴んで小刻みに震わす。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 腕がすごく痛いが我慢して続ける。 「ありすがゆっくりできないよ!やめてあげてね!」 「んほおおおおおおおおお」 こんなもので良いだろう、ありすをまりさの近くに置く。 「まりさああああああすっきりしましょおおおおお」 「やべでええええええぇぇぇぇぇ!」 ありすは性欲が強いゆっくりだから発情させやすい。 それでも俺には重労働で、痛む腕をさすりながらゆっくり二匹を見ている。 まりさも最初は嫌がっていたが徐々にありすにあわせてすりすりし始めた。 「ありすううううぅぅぅぅまりさもうすっきりしちゃうよおおおおぉぉぉぉ」 「いっしょにすっきりしましょうねえええええぇぇぇぇぇぇ」 「「すっきりー!!」」 まりさがにんっしんっして頭から茎が生えてきた。が、逆再生するように まりさの頭に戻っていった。 どうやら茎を体の一部と認識して元に戻るようだ。 きっと胎生型にんっしんっでも結果は同じだろう。 これだとまりさは二度とにんっしんっすることができないということだ。 「どうしてあかちゃんできないのおおおぉぉぉぉ!!!」 これに驚いたのはありすで、どうやら子供ができないことが不満らしくまたすっきりし始めた。 その後何度も二匹はすっきりしたがまりさがにんっしんっすることはなく、 逆にありすが弱り始めた。 「ぼ…もっど…ずっぎりじだがっだ…」 ありすは見るも無残なしわしわ饅頭になって息絶えた。というかまだすっきりしたかったのか。 まりさはありすの様子に気付くことなく、すっきりした余韻に浸っているのか、 気持ち悪い顔でよだれをたらして笑っている。 「ゆぅへぇへぇぇ」 この直視できない表情をしているまりさを先ほど用意しておいたかなりでかい水槽に入れる。 そして同様に用意しておいた水の入ったバケツをまりさにかける。 「ゆゆゆっ!?おみずさんはゆっくりできないよ!!」 三杯ほど水を入れるとまりさの口に入るかどうかの量になった。 「ゆっそうだよ!おぼうしなんにのればゆっくりできるよ! さすがまりさはあたまがいいね!」 自画自賛して帽子を逆さにして乗り込むまりさ。だが水の深さが微妙過ぎて、 帽子の天辺部分が引っかかり、バランスがとれずにひっくり返る。 「おぼうじざんどぼぢでゆっぐりじでぐれだいのおおおおぉぉぉ」 しばらく苦戦していたが全て無駄だった。帽子もずぶぬれでぐしゃぐしゃになっていた。 まりさの足はふやけて行動不能になり動けなくなっていた。 「ゆっくりはねるよ!ぴょぼぎゃあああああばりざのあじがあああああああ!!!」 それでも無理に動こうとすれば、ふやけた足が裂けてしまうがそれでもまりさの体は再生し、 の繰り返しを延々とやっていた。 その後もまりさの実験は続いた。 金網の上に乗せて火であぶったが焦げ目がつく程度ですぐに再生するため、 黒ずみにはならない。 れみりゃに食べさせてみたが食べている途中で再生し始めて気持ち悪くなったか、 全て吐き出してざぐや~と泣き叫んでいた。 今度はまりさにタチをやらせたが、れいむに生えた茎になった実を自分の一部と認識するのか、 実がまりさに吸収されていった。これにより増えることはないと分かった。 五日ほど何も食わせずに放置してみたが、死なずに空腹を訴えていた。 何故腹が減るのか聞いてみたら 「たべないとゆっくりできないでしょ?そんなこともわからないの?ばかなの?」 髪を掴んで振り回して気持ち悪くさせて、エレエレさせて吐いた餡子が 口の中に戻っていき、それをまりさが気持ち悪く思ってまた吐きだしてをループさせたときは 笑った。 しばらく実験をしてみて分かったが、この薬を世に出すわけにはいかない。 たしかにこの薬を使えばゆっくりは死ななくなるが、それと同時に処分する方法がないということだ。 試しに死ぬほど食わせてみようと大根十本を与えてみたが、どうやらこいつは満腹に感じないらしく、 まだよこせと要求してきた。 油をかけて炭になるまで燃やしてもこいつは復活した。 硫酸をかけても溶けることはあってもすぐに再生する。 圧力をかけても駄目で、逆に真空にしても駄目だった。 もうこのまりさは死ぬことは許されないのだ。人間ならば心が死ぬまで生きるだけだろうが ゆっくりとは刹那を楽しむ生き方をする、よって苦痛は感じないだろう。 そして世にこの薬が出回った場合、そのゆっくりは食用にはできないため、食料にはできない。 そして飼い主が処分したくなったときにも処分する方法がないのだ。 私も毒物注射など殺す方法を考えてみたが、毒はおろか薬も受け付けない体で全て無駄だった。 こんなゆっくりが自然に放たれればどんな突然変異を起こすか分かったものではない。 もうこの薬とゆっくりを封印して研究資料も処分しなければならない。 私はゆっくりを甘く見ていたのかもしれない。考えてみればゆっくりはどんな原理で動いているのか分からない 謎物質で今すぐ動かなくなってもおかしくないのに当たり前の存在過ぎて忘れていた。 「ゆっくりしていってね!」 今までずいぶんとひどいことをしてきたが持ち前の餡子脳で綺麗さっぱり忘れているまりさ。 だが今回は殺すことよりも残酷なことをしなければならない。それを実行すればまりさは 永遠にゆっくりすることになる。死ぬことのたとえではなくそのままの意味で何もできない状態で放置され、 朽ちることも腐ることもできないまま、ゆっくりするだけの存在になってもらう。 さすがに躊躇われるがこんな化け物染みたものがこの世にあるだけでも安心することができない。 といってもこの世から消す方法など持ち合わせてないから、私は永遠に安心することはないだろう。 「まりさ、この中はとってもゆっくりできるぞ」 「まりさはゆっくりしたいよ!ゆっくりいれてね!」 まりさをゆっくりの形をした鉄の入れ物に入れる。その中には無数の棘がびっしりついている。 「いだい!いだいよおおおおぉぉぉぉ!!」 「その中でずっとゆっくりするといい」 「まっで!じめないでえええぇぇぇだじでよおおぉぉぉぉ!!!」 助けを求めるまりさを無視して観音開きの蓋を閉める。その蓋にも棘がある。 これで暴れたりすることもできずに動くこともできないだろう。 「ゆぎゃああああぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」 突貫で作った『ゆっくり用アイアンメイデン』に鎖を何重にも巻きつけて コンクリで固めて裏山に埋めた。 あとはあのまりさが永久に掘り起こされないこととあの薬を 他の人が作り上げないことを祈るのみだ。 さあ、また薬の開発に戻るか♪ 終 あとがき ゆっくりを死なせず虐待したいよ! →ゆっくりもこうがいるが虐められないよ! →スタンダート型を不死にすればいいんじゃね? そしたらよくわからないものになりました。 死にたくはないけど不死にもなりたくないなぁ 『オマケ』でした。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1579.html
人間じゃない生き物が主人公です。 そいつの独白とかはありませんが、それでも難点があるでしょう。 「ハチにそんな知能あるのかよwwww」とか「成長はええwwwwww」とか「毒は?wwww」とかですね……。 気になる方は多いと思われます。若干胸を悪くするような描写もあります。 また昆虫嫌いの方にはお勧めいたしません。それでもよろしければ、 色々と見逃しつつお楽しみください。 そのハチは困惑していた。そろそろ産卵しようと決めていたが、 未来の子供達のための、あたたかな寝床を見つけあぐねていたのだ。 ようやくしつこい雨があがって、涼やかな秋の風が吹き始めたため、 『彼女』はようやく、ねぐらを抜け出したのだった。 幻想郷の森にも、多様なハチが生息している。 大きなクマンバチから、猛毒を持つスズメバチまで。 一般にハチの巣というと、見慣れたあの形を思い起こすだろう。 人家や、樹木にぶら下がるようにしてある、球形のアレである。 しかし、このハチの場合は少し違っていた。 壮大な巣を地道につくりあげていくのではなく、 自らより弱い生き物をとらえ、毒を注射し、そこに産卵するのだ。 犠牲者はすなわち、幼虫達の寝床であり、食料でもあるのだった。 神経毒によって麻痺した獲物は、ハチの住処に引き摺りこまれ、 じわじわと、生殺しにされるというわけである。 体長2cmほどの小さなハチではあったが、捕食者としての能力には、 並外れたものがあると言ってよいだろう。 そして、そのハチ――ジガバチは、どこからともなく漏れ聞こえてくる、 ハチにとっても「間抜け」に思われる、珍妙なリズムを感じ取った。 「ゆっゆっゆ~♪ゆっゆゆ ゆっゆ ゆっゆ~♪」 「「「わぁおかあさん、おうたがじょうず!!!」」」 それはどうやら、巷で噂の「ゆっくり」の家族であるらしい。 『彼女』はたぐるようにして、いびつな調べの発生源へと向ってゆく。 あくまで静かなその様子は、まるでステルス戦闘機のようである。 「ゆっ!そろそろおゆうはんのじかんだね! ゆっくりごはんにしようね!!」 「「「ゆっ! おゆうはん!おゆうはん!」」」 『彼女』がたどりついたのは、大樹の根元にかまえられた、ゆっくり一家のねぐらである。 遠巻きに、一家団欒の様子をながめ、家族構成を調べる。 親れいむとまりさが一匹ずつ、子れいむとまりさがそれぞれ三匹ずつ。 計八匹の、中規模のゆっくり家族であることがわかる。 「きょうのごはんは そとにころがってた むしさんだよ! まるまるふとっておいしそうだね! ゆっくりあじわってね!!」 「「「ゆ~っ!おいしそう!!!」」」 「うっめ!これメッチャうっめ!」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~~~!!」 ゆっくりたちの晩餐がはじまる。あたりかまわず、食いかすをまき散らし、げっぷを連発。 小さな子供たちはまだしも、親である二匹まで、この有様である。しかし。 何より『彼女』の神経を逆撫でしたのは、昆虫にとってもクズに等しい「ゆっくり」どもに、 『彼女』の眷属たる、ハチや、たっぷりミツを湛えたミツアリたちが、既に絶命しているとは言え、 むさぼり食われ、はずかしめられているという事実であった。 にわかに『彼女』の心の中に、「こいつらに産み付ければ一石二鳥」という名案が浮かぶ。 普段狙いをつける動物よりも、その図体は何倍も大きいというリスクこそあったが、 連中は何より、理想的な栄養源たる、餡子のかたまりなのである。 動きは極めて鈍く、昆虫に対する警戒心も果てしなく薄い。思考力も乏しい。 むしろ、いつもより「ゆっくりとした」狩りになるのではないか。 『彼女』は、見苦しい食事を続ける一家の巣穴へ、ふわりと舞い込んでいった。 「ゆっ!? おかあさん、はちさんがはいってきたよ!!」 「ゆゆゆっ、ほんとう!こんなおそくに、まよっちゃったのかな?」 「はちさん、ゆっくりしていってね!!」 『彼女』の侵入に気付いた子まりさが、驚きの叫び声をあげる。 しかしながら、そこはゆっくりブレインである。まずはお決まりの文句をぶつけた。 「ゆぅ~っ、おうちをまちがえてるね!!」 暢気なゆっくりたちは、どうやら揃って満腹したようで、『彼女』を捕らえるつもりはないらしい。 むしろ、一人合点して、心配する素振りをさえ見せ始める。 「はちさん、こんやはまりさたちのおうちでゆっくりしてもいいんだぜ!」 「ゆっ、そうだね!ここはれいむたちのじまんのおうちだからね!!」 「「ゆっ!おきゃくさん!まりさたちのおうちにゆっくりとまっていってね!!」」 一日精一杯ゆっくりして、あたたかい巣に帰り、腹もふくれ、すっかり安心しきっているのだろう。 連中の言葉でいえば、まさしく「ゆっくりしている」状態だった。この状況を『彼女』は冷静に分析する。 「油断しきっているな」と。 「ゆっ、そろそろねるじかんだね!こどもたちはゆっくりおへやにもどってね!」 「ゆ~~っ、もっとはちさんとあそびたいよ!!」 だだをこねる子ゆっくりたち。しかし、遊び疲れた様子で、渋々自室へかえってゆく。 部屋といっても、扉などない、わずかなくぼみに過ぎないものではあった。 「ゆぅぅ~っ、すりすり♪れいむのほっぺはあったかいね!!とてもゆっくりできるよ!!」 「まりさだってとってもゆっくりしてるよ!!いっしょにゆっくりできるね!!」 そんな、あたたかいお部屋のなかで、ほっぺたをすり合わせ、今日一日の楽しかったできごとを反芻する。 こうしたスキンシップや回想も、ゆっくりたちにとって重要な作業なのである。 次第に夜はふけてゆき、まどろみ始めるゆっくり一家。 空高くにきらめく星たちが、一層輝きを増す頃、一家は完全なるノンレム睡眠のさなかにあった。 そして、狩人の時間が代わりに訪れる。積まれた枯れ枝の陰に息を潜めていた『彼女』が、静かに舞い上がる。 翌朝。小鳥たちの騒ぐ声で、いつものように、一番最初に目覚めたのは、母れいむだった。 数日前の悪天候もどこへやら、外はすっかり、爽やかな秋のムードに包まれているようだ。 ――だが。同時に母れいむは、自らの後頭部(?)に、言いようのない異物感をも感じていた。 「ゆっ!みんな、ゆっくりおきてね!きょうもはれたから、ぴくにっくにいくよ!!」 「…ゆぅ~っ」 「…ゆっ!ぴくにっく!」 「ゆゆっ、まだゆっくりねてたいよ…」 奇妙な感覚を忘れ去ろうとするかのように、母れいむは夫と子供たちを起こしにかかる。 その反応は様々だったが、「ぴくにっく」という、とてもゆっくりした単語を耳にし、むくり、むくりと起きはじめる。 母れいむが、夢心地の子供たちを引率し、おうちの外に連れ出していく。 しかし、「おへや」の隅にむこうを向いて寝転がったまま、ぴくりとも動かない、末っ子れいむに気付く。 「ゆっ?れいむ、どうしたの?ゆっくりおきてね!おいていっちゃうよ!!」 親まりさの呼び掛けにも、微動だにせず、眠りこける子れいむ。その後も、親の呼び掛けは続いたが、 一向に目覚める気配がない。痺れを切らせた親まりさが、子れいむに近付き、リボンをぐいぐいとひっぱり始めた。 「ふぇいふ!ふゃっふゃひょほひはいほほいへふほ!(れいむ!さっさとおきないとおいてくよ!) 親まりさが子れいむのリボンを引っ張った為、自然、ぐるりと体の向きが入れ替わる。 しあわせな夢を見て、実にゆっくりとした表情で眠っているのであろう。 いくばくかの微笑みを湛えて、わが子の安らかな寝顔を想像していた親まりさ。――しかし。 「れいむ、はやくおきな―――ゆ゛っっ゛!?れいむ゛?れ゛いぶっっ!??」 ごろん、と、力なく転がり、こちらを向いた子れいむの表情は、「安らかさ」とはかけ離れたものだった。 白目をむき、その目を見開き、歯茎をむきだしにしつつ、歯を食いしばっている。 よく見れば、その歯と歯のすきまからは、餡子色をした泡をさえ吹き出し、にじませているではないか。 いくら知能が低く、状況を認識・把握する能力を欠いたゆっくりでさえ、この、常識外れの苦しみを味わい尽くし、 地獄の大鍋の鍋底をさえ舐め尽したとでもいうような、苦悶の表情をうかべるわが子の様子からは、 異変を感じ取らざるを得なかった。 「でい゛ぶ!!!でい゛ぶぅぅぅぅっ゛!!!どぼぢだの゛おぉぉぉおっっっ゛!!!べんじじでよ゛ぼぉぉぉ゛っっ゛!!」 巣穴の奥からの、けたたましい悲鳴に驚いたのは、ピクニックの準備をすませ、 おうちの前で、ゆっくりと母と姉妹を待っていた、残りのゆっくり家族たちだった。 「ゆっ!?おかあさんのこえだよ!!」 「ゆぅっ、ふつうのこえじゃないよ!!なにかあったの!?」 にわかに、騒ぎ始める子ゆっくりたち。それを制する母れいむ。 「ゆっ、みんな、おかあさんはなかのようすをみてくるよ!おうちのいりぐちで、ゆっくりじっとしててね!!」 「「「ゆっくりみてきてね!!!」」」 いったい、何があったというのだろう。まりさは普段、とても温厚で、声を荒げたことなど一度もなかった。 「これからもずっと、ゆっくりとして生きていきたい」という思いに、影を落とすような不安を振り払うかのように、 母れいむは懸命に跳ね飛び、大きな、立派なおうちの奥、こどもべやを目指して駆けた。 そこで繰り広げられていたのは、想像を絶する惨状だった。 大切な、大切な子供たちの、ちょっと手狭で、寄り集まってゆっくりするには最高のおへやのなかでは、 同じくらい大切な、配偶者のまりさが、見たこともない泣き顔で、喉も裂けよと言わんばかりの声を張り上げ、 わんわん泣いていた。そのかたわらに転がっていたのは、すっかり冷たくなった、わが子の亡き骸であった。 見れば、尋常ではない表情を浮かべているではないか。急速に、母れいむのゆっくりブレインに、 「泣きわめきたい」という衝動がわきあがってくるが、家族のためを思い、必死にそれを制する。 「ばり゛ざ!!どう゛じだの゛!どう゛じでれい゛むのこどもがじんじゃったの!!!ゆ゛っぐり゛せつめ゛いじでね!!!」 「ゆっ…ゆ゛っ…ば…ばがら゛な゛びよおお゛ぉほぉぉっ!!!!い゛づまでもねてるから゛、ゆっぐりおごじだだげなぼびぃぃいっ!!!」 駄目だ、とても会話ができる状況ではない。母れいむは、こみ上げる涙に潤んだ瞳で、わが子を見つめる。 つい昨日までは、みんなで仲良く飛び跳ねて、とてもゆっくりと暮らしていたはずだったのに。どうして。どうして。 母れいむの頭のなかにぎっしり詰まった餡子の分だけ、この末っ子との思い出も詰まっている。 ゆっくりという種族は、記憶力が乏しいとは言え、家族間の絆は、極めて強固なのである。 母れいむの餡子脳が、楽しかった思い出を求めて、ぐるぐると回り始める。どうして。どうして…! 「ゆ゛うぅ゛っ……!!…………ゆ゛っ??」 泣きわめいていた母まりさが、しゃくり上げると同時に、ぴたりと泣き止んだ。死んでしまったとばかり思っていた、 子れいむの体が、ぴくりぴくり、とうごめきだしたからである。母れいむのほうも、空想に耽るのをやめて、 わが子に駆け寄った。 「れいむ!れいむ!!まだいきてたのね゛!!!よがっだ!!!」 「よ゛がっだあああぁぁあぁ!!でい゛ぶううっっ゛っ!!!」 助かった。子れいむは助かったんだ。二匹の心やさしい親ゆっくりは、ない胸を撫で下ろしたい気持だった。ところが、である。 ぴくぴくと、子れいむは、確かに動いているようである。しかし、おかしいのは、浮かべた苦しみの表情にまるで変化がなく、 自発的に「動いている」というよりは、むしろ誰かに「動かされている」という感じなのだ。訝しげな両親。 「ゆぅぅっ…れいむ、どうしちゃったの……」 もっと近くで、と母まりさが子れいむに近づいた、その時。母まりさは、わが子の皮膚の下でうごめく「何か」を見て取った。 「ゆ゛っ゛っっ!!?」 「ど、どうしたの、まりさ!!!ゆっくりれいむにもみせてね!!」 母れいむが飛び跳ねて、近寄り、うごめく「何か」凝視する。それは―― まさしく、子れいむの中に詰まった、餡子をむさぼるっていた。しきりに、もぞもぞと動いていた。 「ゆっぎゃぎゃああああああ゛あ゛あ゛ああああああああああああ゛ああああ゛!!?」 奇声ともいえる、珍奇な悲鳴を、大音声をあげる両親の目の前で、子れいむは何かに「食われて」いた。 それがいる部分の皮膚が大きく盛り上がって、そこから、音がしそうなほどの勢いで、ベコン、ベコンと、 愛しい娘の餡子が吸い取られ、むさぼられていた。丸々と肥えて、元気なゆっくりに育ちつつあった愛娘は、 見る見るうちに、皮とリボンと、つやのない髪を残して、その存在を消し去られてしまった。 「でい゛ぶの゛ごどぼ!!!!だびじな゛ごども゛があ゛あ゛ああああ゛あ!!がら゛っぼに゛な゛っじゃっだあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「でい゛ぶ!でびぶぶぶっっぽおおおお゛おお゛がががあががががが!!!」 堰を切ったように、両親の目から涙があふれ出した。さながら滝のようである。こどもべやをマイナスイオンが満たしてゆく。 「ゆ゛っぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でびぶぼごどぼ!!!でびぶのあ゛がじゃ゛ん゛!!!」 「ばびざぼごどぼ!!!!ゆ゛がががああがががが!!!!どぼじでええええぇぇえ!!!」 泣き叫ぶゆっくりたちを尻目に、成果を見届けた『彼女』は子供部屋を後にする。 そう、『彼女』は、油断しきったゆっくりたちが爆睡していた真夜中に、一匹一匹、ゆっくりと、麻酔を注射し、産卵していったのだ。 そうした卵は、遅かれ早かれ、数日と経たぬうち、孵化して、中から獲物を食い破ってゆくのである。 今回は、一晩で、一匹だけが犠牲となった。若干のタイムラグは、致し方ない。――そうこうしているうちに。 「おかあさんたちおそいね!ゆっくりしすぎだよ!!」 「ほんとだね!!まりさたちまちくたびれちゃったよ!!」 「…ゆぅっ…ゆぅっ……」 「おうちのいりぐち」で、待ちぼうけを食らっていた子供たち。中には、退屈してしまい、先刻の夢の中へ舞い戻っているものもある。 そんな子ゆっくりたちにも、むろん、分け隔てなく、卵は産み付けられているわけである。現在進行形で、卵は孵化しつつあるのだ。 「おうたでもうたおうね!!!」 「ゆっくりうたおう!!」 「「「ゆ~ゆ~ゆ~♪ゆっゆ~ゆっゆゆっゆ♪」」」 「ゆ~ゆ~……ゆごぺっ!!?」 突如、一匹の子まりさが、ゆっくりの生命にも等しい餡子を、もりもりと吐き戻しはじめた。顔面蒼白、餡子色の涙を流して。 「ゆっ!?お゛ねえぢゃん、あ゛んごはいじぢゃだめ゛えええ゛ぇぇ゛っ゛!!!!」 「ゆぅぅっ!?どうぢだの゛!!!!!????」 「ゆ゛ぎっ!!ごわい゛よ゛おぉぉおおっ゛!!!!」 泣き叫ぶ姉妹をよそに、子まりさは痙攣しながら餡子を吐き出し続ける。僅かだった体内の異物感が、ある瞬間を境目に、 爆発的に膨れ上がる、おぞましい感覚。猛スピードで、体内の餡子を食い荒らされて、ものの数分で、子まりさは息絶えた。 「ゆ゛あ゛っ゛!!ぼね゛い゛ぢゃん゛がじんじゃっだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 「ゆぐぐっ゛!!!ごわ゛いごわ゛いごわ゛いごわ゛いいいい゛いいい゛!!!」 当然のように姉妹たちは泣き叫ぶが、既に、それぞれの体にも、致命的な変化が起こり始めていた。 「ゆ゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!ぼね゛え゛ぢゃ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!…ゆ゛!!ぶっ゛!???」 「ゆぎゃぴゆぴぃ゛ぃゅ゛ぃぃ゛!!!!!ぎゃ゛い゛い゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!…ゆっく ぶびびるっ!!!!??」 「ゆ゛ぴっ!?ぶべるびばぼごぺっっっっっ!!!!!!ぶり゛ゅりゃ゛っ゛!!!!」 「おうちのいりぐち」は、もはや阿鼻地獄、叫喚地獄の様相を呈していた。子ゆっくりたちは皆、餡子を噴き出して、 滝のような涙を流し、思い思いに泣き叫び、両親の名前を呼び続けた。無慈悲に、ジガバチの幼虫たちが、 子ゆっくりたちを食べ尽くし、いりぐちは静まり返っていた。 「ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…ゆ゛…お゛があ゛ざん、でい゛ぶを゛ゆ゛っぐり゛だずげで…!!!」 虫の息の子れいむが、両親のいるはずの、こどもべやへと這いずっていた。 どうやら、体内の幼虫の数が少なく、致命傷には至っていない様子である。その懸命さは、ゆっくりにあるまじきものだった。 こどもべやについたら、おかあさんたちに、きもちわるい虫を取って貰おう。 そして、おいしいごはんを沢山もらって、いっぱいほおずりをしてもらって、傷がなおるまで、 ずっとずっと、ずっとゆっくりしていよう。 子れいむの餡子脳の奥に、母と言う名の希望の光が燃えていた。 その輝きを原動力に、満身創痍で、ボロ雑巾のような体で這いずってゆく。 おへやの直前の角を曲がった、子れいむの目に飛び込んできた光景は―― 餡子脳が凍りつく、恐ろしいものを見たかのような、驚愕の表情を浮かべた、姉れいむの残骸と、 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!……」と、餡子のつまった頭部をむき出しにし、 うわごとのように、意味をなさない言葉を繰り返し続ける、母まりさの姿。 床には、餡子の海が広がっており、その中央には、既に絶命し、苦痛に歪んだ顔をした、母れいむの死骸が転がっていた。 あまりの惨状に、言葉を失った子れいむ。 小刻みに震え、白目を剥いてうわ言を繰り返す、母まりさの頭頂部から、すぽん、と音を立てて、丸々と肥えた、 『彼女』のいとし子が、勢いよく顔をだした。 ある意味滑稽なその音は、絶望の淵にいた子れいむを一押しして、地獄の底へと転げ落ちさせるのには、十分すぎるものだった。 母まりさのうわ言が断絶し、完全な沈黙が、幸福だったゆっくり一家の「おうち」の支配者になり代わる。 『彼女』は満足げな羽音を立てて、最良の繁殖法を見出したことを、喜ばしく思った。 若干、ゆっくりどものせりふが少なかったと後悔しています。 至らないことばかりで、申し訳ありません。 お読みいただいて、ありがとうございました。 このSSに感想を付ける